第244話 姫様のスキルを聞いてみよう
ダンジョンに入ると、オオストラトさんは、てきぱきと指示をだしてくれた。
「先頭は姫様、その左右後ろに、わしと、エドワード、真ん中にペテ。
シスターさんが続き、右わきに、騎士様、左をヒビキ殿で、頼むぞ」
言われたとおりに、順番にって思ったら、ほとんど歩いているのと一緒だった。
「姫様、よろしくっですじゃ」
「まかせて、なの」
オオストラトさんは、お願いしたと思ったら、爆弾に導火したように、距離をとった。
ツインテールは、後ろに抱えていた二本の大剣を、床に着かないようにゆっくり、振り回し始めた。
ぶぅぅんん、ぶぅぅんん、ぶぅぅんん、
ふぅ、ごおおうぉぉ
段々と回すスピードが早くなっていくと、剣はだんだん見えなくなっていき、
風切り音のみ、聞こえるようになった。
「あ、あれは、なんですか?」
僕は、近くに避難していた卑怯者に声をかけた。
「あれで、近づいた敵、味方が細切れになるでござる」
「いや、ありえないでしょ。あんな動き、
なにがなにやらだよ。そもそも、あの大剣軽いの?」
オオストラトさんが、近づいてきた。
「わしらでも、持つのは必死になるぞ」
そういって、彼は自分のバックから、同じ材質のダガーを取り出すと、僕の方に持ち手のほうをむけてくれていた。彼の右手には、力こぶがみえ、かなりの力をいれているのが分かった。
僕は、両手で、持ち手を掴むと、一瞬の持ち上がりもないまま、床に吸い込こまれるように、落下した。
ガコン!!
その後、持ち手を踏ん張って、持ち上げようとしたが、くっついてるかのように、
動かなかった。
「うぎぎぎぎ」
必死に声をだして、力を籠めると、ほんの少しだけ、浮いたきがした。そんな横で、オオストラトさんは、刀身のほうをもち、力を籠めるとゆっくりと持ち上がっていった。
僕は、汗だくになって、また問いかけ始めた。
「なんで、姫様は、あんなに軽々と、ふりまわせるんです?」
彼は、大事そうにダガーをしまうと、
「昨日の風呂場でも、わかったじゃろうが、
姫様は、旦那様から授かった、怪力のユニークスキルもちなのじゃ」
「た、たしかに、風呂場でも、軽く触られただけで、ひどい目にあいましたが、
それでも、あんなふうに振り回せるんでしょうか?」
「ヒビキ殿はなかなかいい感をしてるでござるな。
姫様は、モノを軽くしたり、重くしたりできる、重量操作のユニークスキル
持ちなのでござる」
「エドワード君、それは、国の秘密事項だよ。
軽々しく話しては、いけないのだよ」
「申し訳ないでござる」
僕らが問答を繰り返している間も、姫様は、道なりに進んいき、離れていった。
僕たちは、あわてて、3人に追いつくため、走り出した。




