第242話 卑怯者から話をしてみよう
目を覚まし辺りを見回すと、
どうやらここは、更衣室のようだ。近くの長い椅子に寝かされているようだ。
心配そうに、シスター姿の小柄な美少女が僕の手を握り締めて心配そうに眺めていた。
「あ、ヒビキさん、大丈夫ですか。
いない間に、回復魔法をかけましたので、
体は大丈夫だと思いますが、どうですか……」
彼女は、目と鼻の先まで、顔を近づけると、心配していたであろう目には、
涙が浮かべてあった。
美少女と至近距離で見つめ合っているのにドギマギしていると、
更衣室の扉の向こうから、空気の読まない声が聞こえてきた。
「ヒ~ビ~キ~ど~の~~!だ~い~じ~ょ~ぶ~で~ご~ざ~る~か~!!」
彼女は声が聞こえると、手を放し、僕と距離をとった。
至福の時間が終わり、入ってきたエドワルドを睨みつけた。その時には、入れ違いで、
シスターが部屋を出ていった。
「アンドレアさんに、助けてもらったよ」
僕は、体を起こすと、何もかけられていない下半身に、絶望した。
「もう、大丈夫そうでござるな
騎士殿に言われたときは、慌てたでござる!わぁっはっは」
「では、私は戻りますね」
ぺこりとこちらに一礼すると、更衣室から去っていった。
僕は、お礼を言えてないことに悲しんだが、
今は、着替えるのが先であるのは、間違いなかった。
僕は、着替え始めると、洗い場での出来事を詰問した。
「どうして、姫様の時、助けてくれなかったんですか!」
彼は、目線を逸らすと、立ち去ろうとした。
「じゃ、じゃ、またでござる」
僕は、逃げようとする卑怯者を、羽交い締めにし、持ち上げ、逃げられないようにした。
「知ってて、みなかったことにし・ま・し・た・よ・ね!!」
「しょうがなかったんでござる
助け船をだしたら、拙者も同じ目にあったでござる!」
「そうだとしても、戻ってきて、助けてくれても、よかったんじゃないですか」
「前に姫さまの所業後に助けたドワーフは、いま、土の中でござる。
死にたくなかったでござるよぉ!」
僕は、絶句し、ようやくこのパーティに冒険者が入らないことを
身をもって、理解した。




