第237話 冒険者パーティに会ってみよう
すでに、テーブルでは、宴が始まっているようで、
たくさんの肉料理に飲み物が所狭しと置いてあった。
「よし、皆の者、明日から2日間一緒に冒険にきてくれることになった
ヒビキ殿じゃ」
座っているみんなの視線とはうらはらに大きな声で、紹介してくれた。
「ヒビキです。短い間ですが、よろしくお願いします」
僕は、一礼をするが、あんまり興味はなさそうだった。
「ヒビキ殿、隣に座って」
僕は、促された場所に彼と同時に座ると、
あたりを見回した。
「わしは、紹介したが、正面に座ってるのが、
エドワードじゃ、わしの息子だ」
「エドワードです」
黒色の服装に身を包んだ、小柄な男性だ。
きっと、ドワーフだろう。
「で、わしの隣が、ペテだ」
「ご紹介預かりました、ペテ・ラガリィです」
「王国で唯一の賢者じゃ。
ドワーフなのに賢者とか、あほじゃろ」
「あほとは、なんだ。あほというお前があほなんじゃ」
彼らは、胸倉をつかみ合ってにらみ合っている。
「親父殿も、ペテ様もおやめください。
姫様の前ですよ」
エドワードさんが、止めにはいった。
「すまん。
で、エドワードの隣におわすのが、
エレメール姫じゃ」
彼女は、こちらをみると、表情も変えずに、ぺこりとした。
「姫、ちゃんとあいさつをしてくださいませ」
「ふん」
「こまったものじゃ。
気にしないでくれたまえ」
姫様は、11~12歳ぐらいの容姿をしていた。
頭には小さな帽子、大きなツインテールに銀髪、幼い顔立ちで、高そうな服装をきていた。
「で、ヒビキくんの奥にいるのが、
大陸からきてもらった、シスター一行じゃ」
手を向けた先には、一人の小柄な女性と鎧甲冑の人がおり、立ち上がってくれた。
一人は15、6歳ぐらいの小柄の女性で、大陸でみたシスターの服装から、
ユキナと同一の教会の人間であることは理解できた。
もう一人は、僕と同じぐらいの身長だと思うが、フルフェイス、フルプレートを着ているためか、
僕より少し大きく感じた。
フルプレートは、おなか廻りが大きく、虹色の雪だるまのような印象をうけた。
フルフェイスには、おおきな耳が二つついており、
ネズミ?カエル?見る人によって、どちらの表現かは。異なるだろう。
シスターは、僕の方を向いて、かわいらしい笑顔を見せてくれた。
「私は、清流教会からまいりました。
アンドレア・カーマイケルと申します。
協会から、派遣されまして、エレメール様の冒険のお伴をするように
言いつけられております。
若輩者で、足を引っ張ると思いますが、
よろしくお願いいたします」
彼女が、頭を下げると、同じように騎士も頭をさげた。
「隣にいる騎士が、私を守るためについてくれてる従者です。
騎士としては優秀なのですが、
内向的であり、前に立つことを嫌うため、
この場は、一礼のみとさせてください」
合わせて、再度深々とお辞儀をすると、
騎士も同じようにお辞儀をした。
「ありがとうですじゃ。
彼は、彼女を守ることが最優先で教会と契約を結んでるのじゃ。
パーティにいるが、パーティ優先じゃないんじゃ。
まぁ、ヒビキ殿、あんまり気にせんでええぞ。
さて、挨拶も終わったし、
宴を始めよう!!!」
彼は、みんなにお酒をくばると乾杯をした。
各々は、騒ぎながらも、でてくる食事を食べ始めた。
それにしても、僕を含めてまともに挨拶をしたのが、
一番年下の女の子っていう事実がなさけない。
少しは、ちゃんと挨拶ができるようにならなくちゃ。




