第235話 冒険者に雇われてみよう
後2回連絡すると、銀貨6枚かぁ。
宿に2泊で、2枚減ると、4枚。
明々後日には、連絡もできなくなるのかぁ。
参ったなぁ、どうしよう。
ギルドを出て、途方に暮れ、天を仰いでいると、
ちょんちょんと、腰を叩かれた。
叩かれた方をみると、小柄の太めのひげ面の中年が声をかけてきた。
「お兄ちゃん、冒険者か?」
「ええ、一応は」
「魔法は、使えるかい?」
「はい、一応は」
「うちのパーティこんか?。魔法使いを探しとるんじゃ」
「旅を急ぐので、断ります」
「まぁ、まぁ、話だけでも、聞いても損はないぞ」
僕はこの後特に予定がないことを悟ったため、
暇つぶし程度に聞いてみることにした。
「はぁ、じゃ、話だけでも」
「うんうん」
彼は、僕を誘導すると、近くの酒場に入っていった。
酒を二つ注文すると、話が始まった。
周りでは、空席もあるが、既に出来上がっているパーティもあり、
がやがやしていた。
「それでだ。おぬしお金は興味あるのじゃろう」
「ええ、ちょっと路銀がたりなくて」
「一緒にダンジョンに潜れば、結構なアイテムが手にはいるぞ」
「アイテムには、興味がなくて。
それに、3日後には、王都に到着したいんです」
「ふむ、じゃ、二日一緒に冒険して、3日目には、王都に出発できれば、
いいんじゃな?」
「はい」
僕の発言と同時に、テーブルには二つのグラスが並べられた。
彼は、一口、おいしそうに飲むと、僕も同じように口をつけた。
「ここからだと、午後出発で、夕方には到着できるぞ。
それでも、よいか?」
「それでも、かまいません」
「ふむふむ。じゃ、二日間一緒にダンジョンに潜るでどうじゃろう。
その間、おぬしを一日大銀貨1枚、二日で二枚、三日目の朝戻るとして、
3日目で3枚で、どうじゃ」
「はい、ありがとうございます。
よろしくお願いします」
彼は満足げになり、お酒をごくりと一口飲むと、
「じゃ、契約成立じゃな。明日から、ダンジョンに入るとしようぞ。
この後、パーティを紹介するから、一時間後にまた、ここに戻ってきてくれ」
「わかりました」
「ほれ。契約金じゃ」
彼は、鞄から、大銀貨3枚を渡すと、僕に手渡した。
「え、いいんですか?」
「はした金じゃからな。もっと活躍してくれれば、
別に報酬をだそうとも思っておる。
よろしくな」
「はい、がんばります!」
僕と彼は、グラスを奏でると、一気に飲み干した。
「わしは、オオストラトじゃ。周りからは、まぁ、ええ。」
「僕は、ヒビキです。」
「では、ヒビキくん。また、あとで」
「はい」
僕は、彼に一礼をすると、もらった大銀貨をしまった。
こんな幸運があるんだな。
いただいたお酒が強かったのか、ふらふらし始めた。
そういえば、師匠から状態異常変化のスキルをもらったんだっけ。
僕は、状態異常変化【無効】と念じると、先ほどまで、
ふらふらしていたのがウソのようにしなくなった。
ほんとだったんだ。
正直、眉唾だと思ってたけど、これで、酔って気を失うことはないな。
日が陰りを見せ、間もなく夕暮れになろうとしていた。
とりあえず、オーサさんに、連絡ができないことを伝える必要があるな
僕は、決断すると本日2度目となるギルドの通信室に向かうことにした。




