第233話 鶏肉のトマト煮を食べてみよう
ゲートをくぐると、目的の都市が見えていた。
といっても、米粒よりも小さいが、先の方に村のような小さな集落がうかがえた。
後ろを振り向いて、ディアナさんを見るとすでに、ギルドに向かったのは、
背中すら見えなかった。
まぁ、そんなもんだよね。
何度も歩いているせいか、目的地から、大体の到着時間が読めるようになってきた。
暇だからか、いろいろと考えることにした。
思えば、移動はほぼ徒歩の生活だ。
リイナは、魔道車にのってるんだろうか。
ちょっと、うらやましいな。
そしてふと考えると、だからか、徒歩で向かう人間が極端に少ないのは。
今日、泳いだように、魔法を使って楽ができないものだろうか。
例えば、船で風に乗って進むとか。
海の魔物が危険って言ってたから、難しいか。
例えば、大きな布に風を当てて空を飛ぶとか。
穴が空いたり、魔法が撃てなくなったら、落下か。
砂浜を、船で移動はどうだろうか。
動けなくなっても、溺れることはないだろうし、砂浜なら、逃げやすい。
船を持ち運べるほどのバックがないか。
そんな馬鹿な考えをしてると、
呪い魔法の特訓をすることが一番大事なことに気付いた。
まだ、放てるようになっただけで、
バート師匠のように、縦横無尽に打てるように慣れてない。
それに、時間もかかっていた。
まずは、回数をこなして、早く撃てるようにするしかないかな。
魔王呪縛掌は、思っていた以上に、魔力を使うようで
10回も使うと直ぐに、魔力枯渇状態に陥った。
なかなか、はやくうてるようにならないなぁ。
気づくと、お腹が空いてた。太陽は上空にあり、お昼をとってもいい時間帯のようだ。
近くの木陰に座り、モモさんに選んでもらった店の弁当をとりだした。
生ハムに、小エビのアヒージョ、トルティージャ、鶏肉のトマト煮、
がはいっていた。
主菜だから、一種類のおかずかと思ったけど、そうでもないんだな。
パンを取り出し、アヒージョにつけて食べる。
ニンニクと油の香りが、食欲をそそる。
特に塩梅があっており、これだけで、おなか一杯食べれそうだ。
生ハムは塩分が強く、うまみがあるが、飲み物を必要だ。
トルティジャで野菜の甘みを取りながら中和していく、
やっぱり、メインの鶏肉だろう。
十分に味がしみており、トマトのうまみをもれなく含み、
一口で、ほっぺたが落ちるぐらいおいしかった。
何が素晴らしいって、熱いものを熱いまま食べられるこの幸せ。
気が付くと、全ての料理は胃の中に納まり、
デザートは何かないかと探すと、果物があったことを思い出した。
適当に果物で取り出すと、マンゴーのようだ。
皮ごと食べると、最後に皮が口に残った。
マンゴー自体は甘みが強く美味しかったが、
皮を残すか食べるかは検討の余地があるかもしれない。
ていっても、もったいないから、種以外は全て食べた。
一通り、お腹が落ち着いたところで、迷宮都市に向けて、出発した。
あと3時間もしないうちに、到着できるだろう。
新しい町とダンジョンに期待が湧いた。
顔はほころび、進む足が軽やかになった。




