第219話 安い部屋に泊まろう
先にいった彼女をみると、食べ物屋の前で、立ち止まっていた。
「ヒビキ、遅いよ。
ここは、地鶏の炭火焼き屋さんで、おいしいのよ」
そういうと、彼女は、店員さんから商品を受け取り、
お金を払った。
「はい、いろいろ付き合ってもらったお礼」
「ありがとう」
僕は、商品を受け取って、値段をみると、
先ほどの店の紅茶台の半分ぐらいだった。
けちめ
といった感情が芽生えたが、気にしないことにした。
「食べ物もかったし、次はどうしようか?」
「そろそろ、日が陰りそうだし、
ホテルを予約した方がいいとおもうわ。
ついてきて」
「あい」
僕の表情を感じ取ったのか、手をつなぐと、
宿屋がありそうな区域に向かって歩き始めた。
徐々に、人通りもまばらになり、
冒険者パーティが数組みかけるような感じだった。
少し古臭い建物を指さすと、
「ここが、おすすめよ。スィートルームから見る眺めが、
とてもきれいなの」
「へぇ、みたことがあるの?」
「ないわ」
「えぇ、ああ、うん。そっか」
なんとも言えない気分のせいか、まともな返事ができない。
「とりあえず、空いてるか聞いてくるよ」
僕は、彼女をおいて建物の中に入っていった。
「いらっしゃいませ、一名様ですか?」
「はい、一名で、安い部屋ありますか」
「あいにく安い部屋はすべて埋まっており、銀貨一枚の部屋なら
空いています」
高いのかな?
安いのかな?
判断がつかないから、そこで、いいか。
「じゃ、お願いします」
どうやら、前払い制だったためか、お金を払うと、
モモとともに、部屋にはいった。
「狭くて、暗いわね」
「寝るだけだし、長いしないから、十分だよ」
「そう、せっかくなんだし、スィートでも……」
「そんなにお金をもってないよ」
「スィートなら、一緒にとまってあげるわよ」
「え、ほんとに?」
「冗談よ、信じるなんて、
おもしろいわ。ふふふ」
彼女は、楽しそうに見下しながら、笑っている。
別にちっとも、本気だなんて、思ってないけど、
ね、
ね、
ちくしょー(涙)




