第218話 バザーを見て回ろう
全てを食べ終わり、意気揚々と彼女は店をでた。
僕も席をたち、入口で支払をし、出て行った彼女を追いかけた。
「おいしかった。ごちそうさま」
「うん、おいしかったよね。
さて、どうしようか。」
「当然、作ってもらったものを回収して、
バザーを見にいくのよ」
「うん、わかったよ」
彼女は、僕の前で一本指を立てた後、
クルリと踵をかえすと、注文していた店に歩き始めた。
すぐに店に到着したが、それほど、立ってないのか、
できているところはまだなかった。
出来上がるまで、店先で待つことにすると、
優先的に作ってくれたのか、どの店も程なく手渡してくれた。
同じように注文した店をまわると、一時ほどで、
全ての持ち帰りを手にすることができた。
意気揚々と二人で並んで、バザーに向けて歩いた。
バザーでは、食べ物だけでなく、いろいろなところを見てまわる。
武器や防具などの掘り出し物や、雑貨や衣類など、
特に今、必要なものではないが、彼女は、楽しそうに、
品定めをしては、僕に話かけてくれる。
そして、いくつかのアクセサリー屋をまわりながら、
似合うか聞いてきた。
いくつかの店を回ったあと、一つのアクセサリー屋さんで、彼女の足が止まった。
「どう、ヒビキ。
これ、似合う?」
彼女は、露天にあった白い小さな巻貝のイヤリングを
耳にあてると、一周回って、聞いてきた。
確かに、髪の色を合わせると、上品さとかわいらしさが
表現されるかもしれない。
「にあってるよ」
「そう、じゃ、買おうかな」
耳にあてたイヤリングを手元に置き、
値札を確認すると、元の品物に戻した。
「少し高かったから、また今度にする」
「そう、似合ってたのに、残念だね」
僕は、置いた商品に鑑定の魔法をかけると
白い加護のユニークスキルがついていた。
ユニークスキルのアイテムだったためか、
他のに比べると、段違いで高かったようだ。
「魔法アイテムで、高いんだね」
「そうなのよ、この村の特産品なんだけど……
たまに、安く出たりするだけど、
また、みてみることにするわ」
少し悲しげな表情から、笑顔にもどると、彼女は先に歩き始めた。
僕は、白と赤のイヤリングを二組とり、
店員さんにお金を払うと、彼女に追いつくように
速足で歩き始めた。




