第217話 笑われてみよう
「ふふふ。
あ~おもしろい、ふふふ」
「そんなに笑わなくたって」
「だって、ふふふ」
彼女は、僕の機嫌がまがったことに気付いたのか、
呼吸を落ち着かせて会話を始めた。
「なんの話だったっけ。
たしか、ムラサキの話だったよね」
「そう、まめに返答くれるって話」
「そうそう。
で、あなたと別れた後から、どうも様子がおかしいって
話だったんだけど。話してくれなくてって
話は、しだんだっけ?」
「いや、初耳だけど……」
「そう。で、大陸の呪いが解けたってことで、
話てくれたんだって。
その時に、自分を助けてくれたのが、
ヒビキさんだったって、知ったわけ。
それまで、リイナさんを英雄視してたんだけど、
悲劇の英雄みたいな感じで、
ミカンが説明したことで、
ヒビキさんを憧れの人って
なってるのよ」
「そうなんだ。そんなに英雄らしいことは、
してないと思うんだけど……」
「そうよね、最終的に石になってたし、ふふふ」
「む」
僕がしかめっつらをすると、
「ごめんなさい。
人を助けるのは、すごいことだと思うわ。
それに、私の知り合いのムラサキだもん。
かわって、お礼をいうわ
ありがとう」
彼女は、笑いをこらえると、最後は、真面目な顔になり、
頭をさげた。
「いいよ、下げてもらわなくて、
当然のことをしたまでなんだし」
彼女は、頭をあげると口角をあげた。
「そうね、
結局、石になっても、シスターが石化とけるから、
意味はなかったかもね、ははは」
「むきー」
「冗談よ、冗談。
ヒビキは、やっぱり、からかいがあるわ」
そういいながらも、笑いがとまることはなかった。
最後、呼び捨てになってるのは、
扱いがわるくな……
いや、信頼が深まったと思おう。




