第210話 リイナに無事を伝えてもらおう
「こちら、ナルコルのギルドですが、ヒビキさんあての情報を
いただけると聞いたのですが?」
「ええ、ええ、お待ちしておりました。
本人がいらっしゃったら、変わってもらえます?」
こちらからは、口元しか映し出されていないが、どこか見覚えがあるような気がする。
しかし、水晶玉から聞こえてくる声は、女性にしては低く、聞き覚えがない。
「ヒビキさん、変わりましょう」
「あ、はい」
僕は、お姉さんと入れ違いで、水晶玉の前に座った。
水晶玉の先にいる女性の口元が笑っているようだった。
「リイナち……
リイナさんから、王都ベーオーンに向かうので、
ヒビキさんも、向かって欲しいとのことです」
「リイナは、無事なんですか?」
「ええ、とっても、元気ですよ」
「それは、よかったです」
「ヒビキさんも、無事でよかったです。
心配してたんですよ。
リイナ……さんから、次に連絡がきたら、伝えときますからね」
「お願いします」
「ヒビキさんも、気を付けて向かってね。
そこだと、2~3日くらい早く王都につけると思うから、
見物するといいですよ」
「わかりました」
僕の返答を聞くと、水晶玉は風景から、真っ黒に変わった。
「なに、あれ?」
「なんでしょうね」
後ろで、女性三人が会話している。
奥は、振り返り彼女たちみると、三人とも、目じりに皺を寄せて、
不思議そうな顔をしてる?
「なんか、おかしかったですか?」
「流石にね、フードで顔を隠すとか・・・・・」
「ヒビキさん、知らない人だったんでしょ?
名前を名乗らないとか?」
「声が、明らかに違う気もしてたし……」
「「「なんか、へん」」」
三人が、一斉にこっちに思い思いのことを言っている。
そう言われると、そうかもしれない。
「とりあえず、次回、シュンセルに到着した際には、
名前を聞いた方が、いいですよ」
モモさんが、僕の腕を引っ張りながら、呟いた。
「では、お邪魔しました」
「ありがとうございました」
「「いつでも、どうぞ」」
にこやかなお姉さま方々を、おいて、
僕とモモさんは、部屋を後にした。




