第209話 ナルコルから、連絡をとってみよう
階段を上がり、二つ先の一室に連れていかれた。
そこには、女性が二人おり、中央には、大きなテーブルがその周りを囲むように、10数個の水晶玉が置いてあった。
二人いたお姉さんの一人が、こちらに気づくと、近づき声をかけてきた。
「あら、モモさん、今日は、どうしたの?」
「ええ、この方、ヒビキさんというんですけど、
冒険者さんと逸れたらしいんですけど、
なにか、連絡きてませんか?」
「そう。ケンス、何か連絡きてる?」
問い合わせられたお姉さんは、近くにあった束をペラペラとめくった。
「ヒビキさん宛のものは、ないわね。
ごめんなさい」
「いえ。そうですか……」
残念な表情が顔に出したせいか、モモさんが話掛けてくれた。
「出発した時の町に何か残してあるかもしれません。
聞いてもらいましょう。」
「うん、そうだね」
僕は、モモさんの方を振り向くと、彼女は、女性に問い合わせてくれた。
「アクセさん、グローレットの町のギルドに問いあわせてもらっていい?」
「いいわよ。ヒビキさんで、聞いてみるわね」
ドアの付近にいた、彼女は、テーブルを反時計周りに進むと、3つぐらい先の水晶玉の前に座った。僕とモモも彼女の後ろに、付いて歩き、座った後ろから、水晶玉を見ている。
彼女は、座って目をつむり幾分か経つと魔法を唱えた。
「連結」
声と同時に、少しづつ水晶玉に風景が映し出されていく。
その映し出された風景は、この部屋と似たような作りの部屋の様子のようで、
水晶玉には、徐々に明確に表れ、最後は、中央のお姉さんが、現れた。
「こんにちわ、どうしました?」
「ヒビキさんという冒険者に連絡はありますか?」
「ええ、待ってました。特別に、直接切り替えるよう指示されておりますので、
このまま、お待ちください」
水晶玉は、部屋が映し出されていたものから、灰色に変わっていった。
お姉さん達とモモさんが、顔を合わせると、会話を始めた。
「めずらしいですね」
「そうですね、王都ではよくあることですが、
商業都市で、冒険者がってなると、聞いたことがないですね。
ケンスはある?
「私もないですね」
僕も会話に参加した。
「珍しいことなんです?」
「そうですよ、ヒビキさん。
そもそも、この水晶玉をもってるところ自体が少ないのに、
一介の冒険者の名前だけで、
ギルドが特別対応に応じるなんて、
もう、何がなにやらですよ」
「しぃー」
モモさんの話を遮るように、水晶玉に風景が映し出されてきた。
後ろからのぞき込むと、水晶玉には、フードをかぶった女性らしき姿が
映し出されていた。




