第206話 すらいむよんをもらおう
「おはようございます」
「おはよう、ヒビキくん」
テントからは、日差しがみえる、雨音も聞こえないから、快晴にちがいない。
「これなら、出発できそうですね」
「そうだね。今から、朝ご飯の準備をするから、
ヒビキくんは、昨日の型の稽古をするといいよ。
朝の運動にもなるし、日中にすぐに動けるようにできるし、
おすすめだよ」
「わかりました。
朝ご飯、お願いしてすみません」
「いいさ」
僕は、昨日習ったのを思い出しながら一通り練習していると、
いい匂いがしてきた。
「あと、少しでできるから、そろそろこっちにきなよ」
声をきくと、武器などをしまい、じゅうべえさんに近づいた。
「ちょっとにおうな。ちょっと待ってろ」
彼は、バックから、水色の風船みたいなものを取り出すと、
僕の頭の上で割り出した。頭上から、水色の霧みたいなものが僕の体に降り注いだ。
うひゃぁ、水色の霧が体さわってるみたい。ぞわざわする。
「な、なんですか、これ。ちょっと、気持ちいいかも」
「ふふふ。
これは、試作品のすらいむよんだ」
「すらいむさん?汚れをとってくれるやつですよね?」
「すらいむさんは、三番目にできたやつで。
これは、四番目のスライムよんだ。
携帯型で、この霧が汚れをとってくれるんだよ。
使い切りなのが、難点で、まだ改良の余地があるがな」
「い、いい名前ですね」
衝撃的な名前のルーツだ。そして、ださい。
「気に入ったなら、あげようか?
試作品だから、いずれ、もっといいものになるだろうしな」
「ありがとうございます。いただきます。
すらいむさんの開発者なんですか?」
「そうだよ、それで立派な店をもつこともできたし、
妻にも出会うことができた。すらいむさん、さまさまだよ」
そういうと、100個くらいボールを僕に手渡してくれた。
「じゃ、ごはんにしよう」
「はい、いただきます」
僕は、100個も何に使うんだろうと思いながらも、
出された朝食をおいしくいただいた。




