第205話 剣術を習ってみよう
「そういえば、ヒビキくんは、魔法をメインで攻撃するのかい?」
「いえ、今まで、魔法を中心だったんで、
剣も使ってみようかと思うんです。
彼女が、大魔道士なので、接近された時に、どうにかしたいと思って……
まだ、一度も戦ったことがないんですが……」
僕は、居心地が悪そうにうつむくと、
彼は、嬉しそうに会話してくれた。
「そうか、彼女のためか。青春だねぇ、うらやましい。
よし。
おじさんも、昔は冒険者で戦士だったから、剣には覚えがある。
魔法はからっきしだが、剣だったら、
いくつかの型を教えてあげれるよ」
「ありがとうございます。
是非、よろしくお願いします」
僕は、正座をすると、食い気味におねがいした。
よかった。
知ってるのが、勇者のスズネのオリジナル技だけだったんだよね。
「まぁ、そんなかしこまらなくていいよ」
「はい、先生」
「うんうん、わかってるね」
僕の発言でうれしそうだ、乗ってくれてる。
「まずは、どんな形で戦おうとしたか、構えてくれるかな」
「はい、先生」
僕は、装備をバックから取り出すと、
左手に杖、右手に小手を装備してから、剣を構えた。
「なるほど、大分変ってるね」
「ダメでしょうか?」
「いや、自由だが。いくつか注意点がある。
杖を盾代わりにできないし、流しには向いてない。」
彼は、枯れ木を拾うと、杖にあてて、見せてくれた。
枯れ木の先が左手の指にぶつかる。剣だったら、怪我をしてたろう。
「このように、剣であれば、流しても、鍔でどうにかなる。
逆にするといいかもしれないな。
右手を杖に、左手を剣にしなさい。
それだったら、流しても、小手がガードしてくれる。」
「はい、やってみます」
僕は、杖と武器を持ち変えると、先ほどと同じ動作をしてくれた。
今度は、枯れ木の先が指に時下にあたらず、ミスリルの小手が防いでくれている。
「その小手だったら、たいていの攻撃は防げそうだね。
君の場合、積極的に前へでるよりも、魔法を主体に、
剣で反撃するスタイルがいいと思う。
君の性格にもあってる」
「そうかもしれません。
誰よりも先に、前へ行かないですね」
「では、この後は、攻撃の型も教えるけど、
躱し、受けを重点的に教えてあげよう。
怪我が一番怖いからね」
「ありがとうございます」
僕は一例すると、彼は、手取り足取り
何時間も教えてくれた。
「大体できるようになったね。
あとは、実践で学んでいけば、大丈夫だ」
「ありがとうございました。
でも、まだ、早さがナメクジぐらいの遅さなんですけど……
少し不安です」
「わかるよ。うんうん、
正しい体捌きができれば、少しずつ早めることで
体が覚えていくはずさ。
一朝一夕では、身につかないからね。
毎朝、時間を見つけては、特訓することだ。
それが、君にとってのプラスになるはずだよ」
「わかりました。
師匠、ありがとうございました」
僕は深々と頭を下げた。
「うむうむ、ちょっとこちょばゆいが、
がんばってね。
勝てない相手には、逃げることも勇気だからね」
「わかりました。
肝に銘じます」
この後、夕飯をとると、疲れからが、
雨音は気にならずに、ぐっすりと眠ることができた。




