第203話 看病をしてもらおう
いたたた。
目が覚めたら、頭が痛かった。どうやら、どこかで、頭を打ったみたいだ。
まだ、雨粒が聞こえているところをみると、嵐は過ぎ去っていないようだ。
だが、体は、ぬれている感触がなかった。
僕は、目を開けると、馬車すらも収まる巨大なテントの中で、
ベッドロールに寝かされていたみたいだ。
「どうだい、気分は?」
「大丈夫です。頭はいたいですが……」
僕の正面には、40台後半のぽっちゃりがたの口髭をはやした中年が座っていた。
「これを飲むといいよ。君は、一日ねむっていたんだよ」
「ありがとうございます」
僕は、コップを受け取ると、暖かそうな野菜のスープが入っていた。
あつい!
僕が、ふ~ふ~いいながら飲むと、彼は、安心したのか、
笑顔を見せて、自己紹介をしてくれた。
「私は、じゅうべえというもので、
行商を生業としている。昔は、冒険者だったんだが、戦闘が怖くてね。
商売で、生計を立てることにしたんだ。
「そうなんですか、僕は、ヒビキ、ヒビキ・カミキと言います。
助けていただいて、すみません」
「びっくりしたよ、急にテントがドスンっていうんだから。
慌てて外をみたら、君が倒れてるし。
とりあえず、無事でよかったよ」
「ほんと、ここに落ちて助かりました」
「傷だらけだったけど、ポーションをかけておいたから、
塞がってるはずだよ。頭のいたみも、そのうち治ると思うよ」
「ありがとうございます」
僕は、体を見ると、上半身裸だったが、傷は一つも見当たらなかった。
「ここは、どの辺なんでしょうか?」
「ここは、ナルコルの村を少し出たとこだな。」
「それは、どの辺でしょうか?」
「君は、地理に詳しくないんだな、この大陸の人間じゃないね」
そういうと、詳しく教えてくれた。
といっても、リイナとともにきた交易都市がグローレットって町で、
その隣。上に向かってたはずが、町を通りこして、下にたどり着いた
らしい。
「まだ、出発は難しいですよね」
「そうだな、雨、風がひどいからな、今日は、難しいだろう。
間もなく、夜になるから、再度、眠るといい。」
「一緒に冒険をしていた仲間と連絡を取りたいんです」
「それは、どういう、いきさつで?」
僕は、風で吹き飛ばされた話をしたら、
驚いている。
まぁ、僕だって驚くもの。




