第20話 ご飯の手伝いにいってみよう。
目が覚めたら、外は真っ暗だった。
部屋も真っ暗だったし、
僕は、幽体だった。
〈おそおう、リイナ〉
〈おそおう、ヒビキ〉
リイナの調子は、良さそうだった。
ドアの向こうで、
包丁の小気味よい音が聞こえる。
夕食の仕込み中だろうか。
〈早く、アンリさんの手伝いに行って来いよ、ぷぷ〉
リイナの生活力を観察してやるぜ。
〈はいはい、いってきますよ〉
リイナは、そういうと、ドアをあけて、
台所に向かった。
「アンリさん、ありがとう。
おかげで、ほぼよくなったわ。
何か、手伝えることある?」
振り向きながら、
アンリさんは、にこやかな表情を浮かべた。
「大丈夫。
あ、そっちにある野菜を洗って皮をむいてくれる?」
アンリさんが、目を向けた先には、
ニンジンやら葉物野菜が並んでいた。
「わかりました」
リイナはそういうと、魔法を唱え始め、
水で、手を洗ったあと
同じように、野菜を洗い始めた
シンクの中に水がたまっていかないことをみると、
外にでていってるのかな。
二人で、仲良く料理をつくってるので、
暇になってしまった。
暖炉の前では、カミュが、
寝そべってる。
まだ、寒くはないので、暖炉の出番はなさそうだ。
横になったカミュのお腹を枕に、
はらばいで、カエルが寝っころんでる。
こいつ、死んでるのかと思ったけど、
鼻提灯が大きくなったり、小さくなったりしてる。
あおむけに寝る蛙っているのかな。
こいつは、やっぱり変わっている。
家を出て、周りを見てこようかな。
〈リイナ、外をみてくるよ〉
〈気をつけてね〉
たぶん、料理に没頭してるのだろう、
幽体で、気をつけるところが、
どこにあるんだろう。




