表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は、この出会いに感謝する!!  作者: 寿々樹ノ葵
第二部 別れと出会いは突然に
199/545

第199話 馬車に揺られて眠ろう

「パトリシアさん、いいものをありがとうございます。

 大事にします」

 僕は、頭を下げて、感謝の意をこめた。

「ママ、ありがとね」

「二人とも、仲よく、無事に行ってくるのよ。

 ちゃんと、アンナを迎えに連れて帰ってきてね」

「わかったわ」

 リイナも立ち上がり、食器を片づけると、

出発に向けて、本館に戻った。


 僕は、ロビーで旅支度をしていると、

パトリシアさんが、お弁当をもって、やってきてくれた。

「道中で、たべてね」

「ありがとうございます。何からなにまで」

「いいのよ、リイナちゃんをしっかり守ってね」

 むしろ守ってもらってるのは、こっちなので、少し心苦しい。

「できる限り、がんばります」

 苦笑いを浮かべながら、弁当を受け取りバックにしまっていく。

 

 しばらくすると、リイナも旅支度を終え、階段から降りてきた。

「待たせたわね」

「そんなことないよ、パトリシアさんから、お弁当をもらったよ」

「ありがとう、ママ」

「いいのよ、この後は、魔道車でしょ。

 馬車よりは、安全だから、そうしなさいね」

「魔道車ってなんですか?」

「魔石を使って動く鉄の乗り物ですよ。

 大抵の魔物は、攻撃されても、大丈夫よ。

 それに、馬と違って疲れないから、速度が安定してるのよ」

 へぇ~、そんな乗り物があるんだね。ちょっと、乗ってみたい。

「どこに行けば、のれるんですか?」

「町の上部にあるのよ。港の前の大広場を、北に抜けていけば、

見えると思うわ。」

「ありがとう、ママ。行ってみるわ」

 僕とリイナは、パトリシアさんの別れの挨拶をして、

本館を後にした。


 とはいえ、広い邸宅のためか、一向に門が見えない。

 少し歩くと、後ろから馬車がやってきて、送ってくれることになった。

 

 パトリシアさんが、手をまわしてくれたのかな。

 ありがたく乗らせてもらうことにした。

 

 リイナと横並びに座り、馬車から見える庭の風景を楽しむ。

 すぐにゲートを通過し、門番さんに会釈をすると、見下ろす町は、まだ遠かった。

 奥に見える海を眺めながら、対岸の聖都に想いを馳せる。

 

「聖都がちっちゃいね」

「そうね、あんなに小さく見えるわね」

 たわいのない会話が、普通にできる幸せを噛みしめながら、

ゆらりゆらりと馬車が揺れると、ゆっくりと眠っていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ