第195話 旅の目的を決めよう
ホールの中には、冒険者やら、執事さんが居て、多数が食事を執っていた。
「奥方いただいてるよ」
「奥様、いただいています」
「おくさん、おさきです」
各々が、パトリシアに挨拶をしている。
「そこが開いてるわ」
「そうね。ヒビキ、先に座っといて。ママも」
「うん、わかった」
僕とパトリシアは、対面で座ると、
リイナは、食事をとりに走っていった。奥に料理が多数おいてあるのをみると、バイキングみたいだ。
パトリシアさんが飲み物を準備してくれて、温かい紅茶を振舞ってくれた。
これまでの経緯を話していると、
リイナが、大皿をいくつも抱えて、持ってきてくれている。
僕もあわてて、手助けに行く。
皿をテーブルに置いて食事をはじめ、たわいない会話をしてみる。
「ここは、人が多いのね」
「そうよ、別館がたくさんあって、そこを無料で貸し出してるのよ。
他にも、冒険者を雇ってたりするのよ。不要なアイテムをこちらで買い取って、
売るみたいな商売で生計をたててるみたい。
利益はでてないから、冒険者さんの寄付だったりで、補ってるみたい。」
サイコロステーキをほおばりながら返答してくれた。
「そうなんだ。
ところで、ほかの家族は、今、どこにいるんです?」
「パパは、いつも通り、行商よ、もう一人の娘は、友達に付き合って、王都に行ってるわ」
「じゃ、寂しいですね」
「他のみんなもいるし、そんなに 寂しくはないわ。
半月ぐらいしたら、また、みんなで食事取れるし。
リイナちゃんも、一緒に食べるよ」
パトリシアさんは、一口紅茶を含むと、リイナの方を嬉しそうに見てる。
「わかったわ。しばらく会ってないから、会いたいわね」
「ところで、あなたたちは、どこに向かうの? 」
「特に決めてないわ」
僕は、リイナのきょとん顔を見て、やっぱりみたいな顔をしているだろう。
「それだったら、リイナちゃんの妹を連れて帰ってくるのをお願いしていい? 」
「いいですよ」
僕は、さらに最後に残ったピーマンの肉づめを食べ終えると、二つ返事で回答した。
「明日は、武器を買ったら、向かおうよ、リイナ」
「そうね」
「あなた達、どんな武器を探してるの?」
「二人とも、杖です。僕は船で失くしてしまって。リイナは、仲間に挙げたので、
この町で探そうと思ってたんです」
「そう、じゃ、クエストの前報酬で、杖をふたりに上げるわ。
明日の出発には、渡すから、探しとくわ」
「ありがとう、ママ」
この日は、リイナは、本館で寝て、僕は、別館を借りて眠ることにした。
リイナの隣の部屋でって言われたけど、それは、悪いよね、たぶん。




