第188話 争いを諫めてみよう
「ヒビキさん、おなか空いてるよね。
これ、食べかけだけど、2枚で売ってあげるよ」
ユキナは、半分まで、食べた鉢を僕に渡した。
今度は、ユキナが二人に下目遣いし、見下そうとしているが、
身長が足りないせいか、成功していなかった。
「ヒビキは、わたしの空になった鉢を3枚でうってあげるわ」
「リイナ、それは、流石にいらないよ」
僕は、鉢を押し返した。二人に笑われている。
「ぐぬぬ、じゃ、靴をあげるわ。これを銅貨3枚で売ってあげるから、
はやく、バックにしまいなさいよ」
バックから歩くと回復できる靴を取り出すと、僕の胸に押し付けた。
これ、何年も履いてたんだよね、と思うと、
素直に受け取りがたい。苦笑いを浮かべながら、
「あ、ありがとうリイナ。受け取らせてもらうよ。
二人とも、落ち着いてよね」
三人の間にはいって争いをいさめようとした。
「りっちゃん、ずるいよ」
「リイナ、卑怯ですわ」
僕ぐらいでは、彼女達を落ち着かせることはできなかった。
「ジーン、そろそろ、馬車にいかないと、馬車がなくなっちゃうよ」
「そうですわ、ここは、ひとまず、ゆずりますわ。
麺ありがとうですわ、でわ」
前回と同様に、こちらをみることなく、ジーンは走って行ってしまった。
きっと時間を忘れていたんだろう。
「相変わらずだな」
「相変わらずね」
僕らは、背中が見えなくなるまで、見送った。
「ユキナもそろそろ戻らないと、教会の人が心配するよ」
「うぅ、確かに。じゃま、私も戻るよ。二人とも、気を付けてね」
笑顔で、手をふって教会にむかって歩いていった。
残ったのは、リイナと、僕の借金だけだ。
どうして、こなんなことになったんだろうと思いながら、
最後まで、麺をたべるのだった。




