第177話 次の目的地をきめてみよう
「それは、だれですの?」
ジーンは、疑問をぶつけてくる。
僕は、質問とは別に違う話をし始めた。
「ジーンは、この後、どうするの?」
「え。このあと、水上都市にエルフの行方の
結果を聞きに戻りますわ」
「だよね、その時に、北の村に寄ってもらいたいんだ。」
「そういうことね、私たちも苦労したものね」
「うん、北の村の奥に住んでる、アンリさんに、
このローブを貸してあげて欲しいんだ」
「カミュも、元気か見てきたいですわね。
しばらく行方が無くなってたものですし、
少し取り戻すのが延びたって、問題ないですわ。」
「ありがとう。
これで、アンリさんも、嫌悪のユニークスキルが緩和されて、村で暮らしやすくなるはずだね。
アンリさんに、よろしく伝えてよ。」
「ヒビキは、どうするんですの?
わたくしと一緒にアンリさんのところに行きましょうよ。」
そういうと、ジーンが僕に顔を寄せてきた。
「ぼ、僕は、
僕は、どうしよう」
特に何も考えてなかったし、
当面の目的もないなぁ。
「私と一緒に学校に通おうよ。
転移者様は、初めに知識を学ぶ習わしだよ」
ユキナも顔をよせてきた。
ふ、ふたりとも、顔がちかい。
ぐいっと、リイナに体を引っ張られる。
「だめよ、ヒビキはわたしに金貨1枚の借金があるんだから、
わたしと一緒に西の大陸に行くのよ」
そうか、新しい大陸か、それもいいかもしれない。
「き、金貨なら、返しまわす。
わたくしといきましょう」
また、顔を寄せてきた。
「あなたは、お金を何ももってないでしょう。食べ物も買えないわよ」
ジーンは、しょぼ~んとさみしそうに引き下がった。
「あなたも、しばらくいなかったのに、
男連れで教室にいったら、
大変な思いをするわよ」
「うぅ、想像しただけで、身震いしちゃったよ。
女の嫉妬こわい」
ユキナも少し離れて、震えている。
「ヒビキは、それでいいでしょ。
ね」
上目づかいで、こちらを見始めた。
「うん、いいよ。新大陸もみてみたいし、
この大陸にいると、危険かもしんないしね。
この後も、よろしくね、リイナ」
「ま、まかしといて。
これからも、よろしくね」
とびっきりの笑顔を見せると、
自信満々に答えてきた。




