第175話 魔王の話をきいてみよう
「どういうこと?」
僕は、スズネに質問した。
「おにぃ、あたしは、魔王がやってきたことを
知ってたんだよ。っていうか、元の体に戻った時に、
知りえたんだ。
だから、教会と連携して統治していたことも知ってたし、
危険な敵を退治してたのも、知ってた。」
そういうと、瞳には大きな涙を浮かべている。
「だから、彼女がどんなにこの大陸の人間を
愛していたか、献身をしきたのかも、
知ってた。
知ってて、彼女を討伐したの。」
スズネは、大きな涙を流しながら、
話してくれている。
「でもね、りっちゃんと、ゆぅっちゃんを
失うわけには、いかなかったの。
あたしは、友達をとることにしたの」
涙をぬぐうと、僕に笑顔をむけた。
「めんね、気づいてあげれてなくて。
知らなくて勝手に喜んで。」
「いいの、おにぃ」
「みんなは、知ってたの?」
「そうね、ヒビキが倒れた後、すぅちゃんが号泣するもんだから、
全員で話を聴いて、あびるほど、お酒を飲んだの」
一瞬で感動がなくなる一文があったな。
「8年前に、魔王が勇者として現れたときは、おどろいたって、
いってました。」
大司教さんも、もらい泣きをしたみたいで、
涙をふいている。
「昨日あわれた、もう一人のセブンズオールの方が、
当時の大司教だったんですよ。
そういえば、一度だけ、大ダメージを追って、
大聖堂にきたことがあったっていってましたね、
18年か、19年前に。
その時の大司教が、老婆のセブンズオール、もう一人の方です。」
「さきほど、質問してた人ですわね。」
「そうですね、
その時に、魔王様は、回復呪文を初めて知ったって
セブンズオールの中では、笑い種になってます。」
「なぜ、笑い話になるんですか?」
笑うポイントが判らない、
「初級のシスターでも、初歩呪文をしってるってことだよね?」
「違うわね、学校の設立時には、みんなが使えるように決まめたのに、
指示をした本人がしらないってところが、ポイントよ」
聴いてもあんまり判らない。
ともいえ、魔王が使えるようになったから、
苦戦した?それとも、討伐できるチャンスができた?
ってことだから、
いいことか、悪いことかよくわからないな。
「とても、心配している大司教をみかねてか、
その時に、自分が討伐されたとしても、
そのうち復活できるから、そんなことがあっても、
心配しないように
って話を聴いております。
昨日は、その件が最後の希望って話でおわりました。」
「じゃ、魔王はそのうち、復活するんですか?」
「あ、ちょっと話過ぎた気がしますね。
聞かなかったことに。
ただ、一度も魔王が討伐されたことはないため、
本当かどうかも、何時復活するのかも、判りませんが」
「そうなんですね」
「それで、勇者様には、魔王様が復活するまでの間、魔物討伐のご協力を願いたいのです」
これまでの、説明はこれの前振りだったのね。
大司教は、にこやかに営業スマイルを行っている。




