第174話 大司教の話をきいてみよう
「この大陸は、150年前まで、エルフを中心に統制されていたのです。
150年前に何かあったのかは判りませんが、
突如、統治ができなくなり、統制がないまま
50年が過ぎていきました。
その50年の間に、エルフにいた人たちも、
一部を残し、いなくなったと聞いてます。」
一気にはなすと、少し間をあけた。
ジーンがカエルになったことが影響してるのかな。
「そして、100年前、現在のサウゲトに、東の大陸から侵攻があったのです。
統制ができてないこともあり、直ぐに都市は陥落。
男性は皆殺し、女性は全員捕まりました。
東の大陸の侵攻は、
この大陸の最大を誇っていた水上都市も、
いとも簡単に、瞬く間に陥落させました。
あの大きな都市が陥落とか、
想像もつかないな。
「時をおなじくして、北の大陸も、攻め込んできて、
北にある、交易都市スロリブが陥落。
残す4大都市は、この聖都のみになったのです。
既に、大陸全員が覚悟をきめたと、
伝承では伝わっています。
その時、この状況を憂いた魔王様が、
攻め込んだ他大陸の兵士が男性がほぼだったため、
男根の呪いを大陸全体にかけたのです。
侵攻していた兵士がどうなったかは判りませんが、
捕まっていた女性たちは、助かりました。
しかし、残念ながら、なくなった男性がよみがえることはできませんでした。
それをきっかけに、
魔王様は我々に、
清流教会が窓口となり、学校の運営、ギルドへの発行などの
指示を示しました。
魔王様主動のもと、大陸の繁栄に努めたのです。
その後、この大陸で問題が発生するたびに、
魔王様が陰で問題を解決していっており、
その相手をしていたのが大司教であり、引退された後、今のセブンズオールの方々となります。
ですので、セブンズオール様たちは、
魔王様を崇拝しており、
あなた方を素直に感謝することはできないんですよ、
ごめんなさいね」
大司教は、すまなそうにしている、
「そして、今後の方向もみえない、
指示をだしてくれる人がいないってことで、
昨日は一日中会議をしていたのですよ。
結局、あなた方の話を聴いてみて考えるって
結論なったんですよ」
「私たちは、何か罰があるんでしょうか。」
ユキナが心配そうに質問した。
「とってたべたりされることはないわ。
彼女たちの心情から教会が、褒め称えることは
ないと思われます。
ですが、自然とみんなの口から、勇者のことが広がるでしょう。
とはいえ、今まで特権をもっていた男性転移者から、
恨まれる可能性があるかもしれません。」
「どういうことでしょう?」
僕は気になったため、口を挿んだ。
「ヒビキ様。
今まで転移者様は、
大陸では、希少な男性であったため、衣食住を含め、
全ての事柄に優遇・提供され、どんな願い事も叶えられます。
ですが、
今後は、いろいろな大陸の男性が
この大陸に訪れることができるため、
特権が最低限になるでしょう。
以上のことを踏まえると、
勇者様ご一行に逆恨みをする人、
その人を援助していた女性達からも、
恨まれる可能性があります。」
ちょっとキャロットさんのところを思い出していた。
男性にあえるから、人気だったんだろうから、
少しは売り上げが落ちるのかもしれない。
でも、イケメンばっかりだったし、キャロットさんは有能だから、
違うことを考えるのかな。
流石に恨まれたりは、しないよね。
「じゃ、お咎めも報酬もないのかしら。」
「残念ながら、教会の統一見解として、
今回の件は関与せずと決まっております」
はっきりと強い口調で大司教は語った。
「ですので、勇者様以外は、ご自由になさって、
問題ありません。」
「え?」
僕は、慌ててスズネを見たが、
本人は、覚悟をきめている様子だった。




