第169話 温泉にみんなではいってみよう
顔に何かがあたってこちょばゆくなって、目が覚めた。
僕は、ベッドで横たわっており、
どうやり、リイナの前髪が風で、僕の顔に当たってたようだ。
そして、目と鼻の先に顔があったことを直ぐに理解し、一瞬で目が覚めた。
「わっ」
どうやら、その衝撃で、リイナも目を覚ましたようだ。
「おはよう、ヒビキ」
「お、おはよう、リイナ」
「おはよう、ヒビキさん」
後ろの大分近い距離から、ユキナの声が聞こえた。
ぎょっと後ろをふりかえると、
振り返った先には、寝ぼけ眼のユキナの顔があった。
直ぐに正面にもどすと、こちらにも、顔があった。
僕は、かかっている毛布ごと、
上半身を起こした。
毛布は、腰のあたりまでさがり、
毛布の中にいた二人の服装は下着姿だった。
あわてて僕は、自分の服装を確認すると、上半身は裸で、パンツ一丁だった。
「もうすこしだけ、寝させてよ、昨日は大変だったんだから」
「ほんと、すごかったもんね」
ふたりは、そういうと、またすやすや眠りだした。
なにが、なにが、すごかったの?
「そうですわよ、昨日は、大変だったんですわ」
左わきの部屋から、全裸のジーンがあらわれた。
湯上りのためか、素肌から湯気がまとわっている。
全裸のジーンから、視線をはずすと、
奥から、ユキナの声がした。
「ジーン、下着ぐらいきなよ」
「あなたも、つけてないですわ」
「あたしは、上をまだつけてないだけ。
おにぃも、入ってくれば、目が覚めるよ。」
どちらも視線だけ、一瞬むけて、ガン見する。
「う、うん。
おはよう、ふたりとも。
ぼくもはいってくるよ」
僕は、二人を見ないようにしながら、
中腰で、奥の部屋に向かっていった。
奥は、3畳くらいの更衣室だった。
そこで、下着を脱いで、扉をあけると、手前に洗い場があり、
10畳くらいの大きさの浴槽があたった。
窓からは、建物が高いためか、
町を一望し、ダンジョンや建物、冒険者などがみえる。
石鹸で、体をよくあらい、早々に浴槽に向かう。
浴槽の一番奥まで、歩きながら
外にむかって、おもわず手をふってみるが、流石に誰もきづかない。
だよね、と思いながら、外をながめて、肩までつかる。
〈ふぁ~〉
あまりの気持ちよさに、思わず、声がでてしまう。
数分すると、気持ちのよさから、
うとうとしてしまう、
まるで、現実から解き放たれたみたいだ。
「どう、おにぃ、きもちいいでしょ」
遠くで、スズネの声が聞こえる。
「そうですわよね」
さっきよりも、近くでジーンの声が聞こえる。
じゃぽん。
どんなことが起きているか、直ぐに察した。
そして、脳が一気に覚醒した。
「ふたりとも、直ぐに入るなんて、卑怯よ」
「私たちが体を洗うまで、まってよ」
リイナとユキナの声も浴室に響いてきた。
「あたしたちは、もう一回あらってるもんね」
「そうですわよ」
既に気配が右と左後ろに感じる。
「ね、おにぃも、そう思うでしょ。」
右耳元で、声が聞こえてくると、
血のめぐりがいっそうよくなるのが分かった。
「そ、そうだね」
声が裏声になりながら、返答してしまった。
僕は、逃げるため、一気に立ち上がったが、
貧血になり、そのまま、意識を失って真後ろにぶっ倒れた。




