第160話 二者択一ならメリットの大きいほうを優先してみよう
〈とりあえず、おにぃが、
どうしてここにいるかは、思い出せたよ〉
そういうと、とつとつと話し始めた。
〈毎年、りっちゃんの誕生日には、呪いの装備をプレゼントして、
弱体化させてたの〉
なんで?って話を遮りたいが、
聞くことにしよう。
〈それで。〉
〈今年は、ネックレスをプレゼントしたの。
そのネックレスには、憑依の呪いをかけておいて、
りっちゃんが、この下の廃墟で
気絶したのを見計らって、
つけてあげたんだよ〉
スズネは、そういうと、また、ダンジョンに向かって飛び進めた。
〈強い呪いには、跳ね返りがあって、
呪いをかけた人に戻るんだよ。
で、魔王っていうかあたしの体で、呪いをかけたので、
りっちゃんの呪いがとけて、あたしの体に呪返しの影響で、紐ついてるんだと思う。〉
あんまり確信はなさそうだ。
〈でもね、本来なら、呪いが解けたタイミングで、自分の体に戻れるはず。
教会のバリアを解除しちゃえば、
すんなり、自分の体に戻れるんじゃないかな〉
〈へ、
バリアは、やっぱり、魔王がかけたの?理由は?〉
〈理由はわかんないけど、かけた記憶があるから、
そうだと思う。
対になってるバリア解除のスクロールが鞄にあるから、
これを使えば、戻れるよ、きっと。〉
〈じゃ、先に戻れるか、試したい〉
僕は必死にお願いをした。
〈気持ちは分かるけど、
あたしは、先にりっちゃんたちを助けたい、
だから、ごめんね〉
〈でも、もし、二人が魔王に敗れたら、
ぼくは、戻れなくなっちゃう。
戻れるチャンスがあったのに。〉
少し考えると。
〈うん、わかった。
りっちゃんなら、直ぐには負けないだろうから、
おにぃを、寄ってからにする。
助けれるところで、助けなかったってのも嫌だし。
さっき、助けてもらったしね。
人数が多い方が魔王を退治しやすいだろうし。〉
〈ありがとう〉
何かだましてる感と、自己中心的な感じで
心苦しいが、ここは素直に
感謝しておこう。




