第16話 お姉さんに会いにゆこう
お腹が空いたことは、隠せないから、
ここは、お願いして、ご飯を作ってもらおう。
リイナに誘導されて、お姉さんのほうに歩いて行った。
「お姉さ~ん」
「あぁ、大分元気になったわねぇ。
まもなく、仕事の切りがつくから、
戻って、ご飯をつくるわ。
それまで、家で休んでて」
「わかりました~」
お言葉にあまえて、居間で今休ませてもらおう。
僕は、ゆっくり来た道を引き返した。
周りの風景をみまわすと、どうやら
ここは、牧場みたいだ。
柵があったり、しているところをみると
放し飼いをしながら、
犬でおいかけているのだろうか。
まぁ、詳しいことは、後で聞けばいいか。
僕は、家にはいって、居間の椅子にすわった。
お姉さんの帰りを待っている間に、
リイナに質問をしてみた。
〈ぼくが倒れる前は、どんな感じだった?〉
〈もう死人みたいに、足を引きづりながら。
肉肉いってたわね。
自分の体だけに、ちょっと悲しかったわ〉
空腹と疲労で、ほとんど記憶がないとはいえ、
酷いことをした。
〈ごめんね〉
〈もう、終わったことだし、
生き残ることもできたんだし、
気にしないでね〉
リイナはきっといい子に違いない。
僕も人を許せる大人になろう。
「ただいま」
「お帰りなさい。
助けてもらってありがとうございます」
ちょうど、お姉さんが返ってきた。
「人助けできて、私も嬉しいわ。
帰りを待ってる人がいるっていい物ね。
体調も戻ってきてるみたいだし、
もう大丈夫みたいね」
お姉さんは、優しい口調で話してくれている。
「お姉さんのおかげです。ありがとうございます。
でも、どうして、発見できたんです?」
外出した時にみた森は、ここからだと少し歩く距離だった。
この近辺だと、見つけらるとは、思えない。
「あぁ、カミュ
この犬がね。急に走り出したの。
森の入り口で、とまって、吠えだしたから、
何事かと思って見に行ったら、あなたが
倒れていたのよ」
「じゃ、カミュのおかげなんですね。」
「そうね、カミュのおかげもあるのかしらね」
何か、歯切れの悪い言い方をお姉さんはしてるような気がする。




