第159話 ダンジョンに向けて出発しよう
〈はやく、りっちゃんと合流しないと〉
彼女は、町の中心に向かって走り始めた。
途中で、町の人たちに、
勇者様だと褒め称えられてる。
〈勇者は、空を飛んで、移動してたって聞いたけど、
飛ばないの?〉
僕の話をきくと、急にたちどまり、
〈は?
人が飛べるわけないでしょ〉
と考え込んだ。
〈飛行〉
彼女は、魔法をとなると、町の上空にぐんぐんあがっていき
僕も引っ張られるように、付いて行った。
今度は、
〈うわぁ〉
彼女の悲鳴と共に、地面に落ちて行った。
地面ギリギリにきたところで、
〈飛行〉
と唱え、再度上空に上がって行った。
そんなことを、2~3度繰り返すことで、
コツを覚えたのか、
空中に浮かべるようになっていた。
〈あぁ、びっくりした。
ようやく、落ち着いた。〉
彼女は、町の東に向かって、
ものすごいスピードで飛び始めた。
〈スズネさん、どうして、
ぼくがここにいるか、わかります?〉
〈すっちゃんで、いいよ、ヒビキおにぃ。〉
そういうと、満面の笑みを浮かべた、
先ほどまでの、敵対関はなんだったんだろう
急に、フレンドリィに接してきて、焦る。
〈じゃ、スズネ、なんで、
おにぃなの。
スズネの方が年上でしょ。〉
〈おにぃは、18ぐらいでしょ、あたしが12なんだから、
断然年上でしょ〉
〈外見は、20才ぐらいに見えるよ〉
そう聞くと、自分の体をみまわした。
〈大分成長してる、ふふふ、これならリっちゃんとゆっちゃんに勝ってる。〉
ふふん、あの時は、まけて・・・いや、同じくらいだったけど、
今は圧勝ね!〉
きゃっきゃっきゃっきゃ、喜んでる。
僕は、独り言が意識によって
聞えなくなる件とこれまでの経緯を簡単に説明した。
〈おにぃ、そういう大事なことは早く伝えてよ〉
説明が終えたときには、大陸の真ん中、
リイナと初めて会ったエルフの廃墟があった遺跡の真上を通過していた。




