第154話 ダンジョン前に腹ごしらえをしよう
目が覚めると、僕は、ベッドの中にいた。
窓から入ってくる朝日がまぶしい。
ユキナさんとジーンが隣におり、夜遅くまで看病してくれてようだ。
〈おはよう、リイナ〉
〈おはよう、ヒビキ。具合はどう?〉
〈何ごともなかったぐらいに
戻ってるね。起こした方がいいかな?〉
〈もうしばらく、寝かしておいてあげたら〉
そういうと、
下着姿の僕は、普段の服に着替えなおした。
着替えなおした時の音で
目覚めさせたのかもしれない。
寝ぼけためで、こちらをみている。
〈りっちゃん、よかったぁ〉
泣きながら、僕に抱き付いてきた。
僕は、いたたまれない気持ちになり、
頭をかいた。
彼女が落ち着くまで、待っていると、
ジーンも起きてきた。
「ヒビキ、おはよう、何か調子が悪いところは
ありますかしら?」
「大丈夫、いたって健康だよ。」
「そう、よかったですわ。
あの後、全力で蹴とばしまくった甲斐がありましたわ」
そういや、防具のあちらこちらに、
靴跡がついてる。
「ひどいんだよ、ジーンさん、私を突き飛ばすと、
全力で蹴とばしまくりで。
見ているこっちが、引いちゃうよ。
蹴るごとに顔色がよくなっててさ、
ちょっと、不思議な感じだったよ。」
抱き付いきやめると、
涙をふきその時の情景を説明してくれた。
「その後は、二人で担いで、戻ったのですわ。
「で、一番近くの宿屋に泊ることが
偶然できたの」
交互に、こちらに顔を近づけながら、
説明してくれている。
「ユキナさんも、ジーンも、
ありがとう。
特に体は大丈夫だよ。」
体を動かして大丈夫なことをアピールすると、
納得してくれたようだ。
〈今日は、ゆっくりしてもいいよね、リイナ〉
〈駄目よ、ご飯たべたら、直ぐにダンジョンに行きなさい〉
どうやら、僕を甘やかしては、くれないようだ。
「じゃ、ごはん。食べにいこうか。」
「「はい」」
店探しは、ユキナさんにお願いし、
宿屋を引き払った。
「以前、来たときは、ここで食べたんだよ」
紹介してくれた店は、
人気店だったようで、
混雑しており、
冒険者さんでいっぱいだった。
朝杯というのに大盛況だ。
注文は行えず、席に座ると決まった料理が運ばれてくるみたいだ。
悩まないで済むから、人気なのかな。
欲しいものがあれば追加するスタイルみたい。
支払いは、料理が来たタイミングで払うのか。
料理がとどいたところで、ユキナさんが払っている。
出てきた料理は、
厚切りベーコンとサラダ突合せにトウモロコシもある。
あとは、こぶし大のパンと野菜のスープだ。
焼きたてのベーコンと
今朝焼いてくれたパンは、
暖かくどちらも、香りがいい。
スープにはいっている、小さく刻まれた野菜は、
うまみが出ていて、飲みやすい。
ユキナさんが、全員が食べ終わりそうなタイミングで、
柑橘系のフルーツを3つ追加で注文した。
直ぐに店員が運んでくると、僕とジーンに渡してくれた。
「この後だけど、
昨日の続きで、ダンジョンにいきたい」
僕の声は、後になるほど小声になった。
だって、行きたくないんだもん
「そうですわね、次は、
危険がないか確認してから、
出るようにしますわ」
「ふふふ、よくある話です。
出た瞬間に死んでいたとか、
一歩出たらパーティが全滅してたとか。」
ごはんを食べて、昨日の件は、終わったことになってるようだ、
切り替えがはやい。
「道案内頼んでいい、ユキナさん」
「いいよ、ヒビキさん」
やっぱり言いなれないから、戻そう。
最後のデザートを食べ終わると、
憂鬱な僕を従えて、
ダンジョンに向かうことになった。




