第141話 酔っぱらいの相手はしないようにしよう
リイナとジーンのラフな格好は、二日ぶりだが、
いつもと違う服装のためか、新鮮だ、露出が多くなってるんだから、なおよい。
だが、それ以上に目がすいよせられるのは、
ユキナさんのグレープフルーツだ。
二人よりも小柄で年齢も若いのに、大きくて形がよい
このグレープフルーツは、男性なら視線をはずすことはできない、が、
リイナの視線はかなり冷たい。
やっぱり、思考がダダ漏れていたのかも、しれない。
彼女は、僕を無視し、3人は共同して、飲み会の準備を始めている。
テーブルには、今まで買ったもの貰ったものが
ところせましと配置している。
乗り切らなかったのか、
再び、カバンに仕舞っていた。
買って一度も開けていない、
お酒類の出番がようやく来たようだ。
リイナが、二人に順番で注いでいく。
最初の一杯で、気持ちよさげにユキナさんが、なっているところを見ると、
それほど、強くはなさそうだ。
ジーンも水のように飲んでるが、
それよりも強いのは、リイナだった。
ユキナさんは、
飲むのをいったんやめて、食べるのに走っている。
今までの食事が全てきにいっていたのを思い出したのだろう。
いろいろな料理を前に、一口食べては、
うまいぞーと絶叫してる。
「リイナ、状態異常耐性強化の指輪をはずさないと、
酔えないですわよ」
目が座り始めたジーンは、リイナに視線をあわすと、
外すよう促している。
一呼吸考えると、リイナは指輪をはずし、バックに入れると、
一気に顔色が真っ赤に変わった。
どうやら、お酒はそれほど強くなく、
しかも、顔に出るようだ。
あわてて、ジュースに切り替えてる。
「ねぇ、りっちゃん、ヒビキさんて
どんな外見なの?」
「わたくしも、知りたいですわ」
片方は、唐揚げをたべながら、
片方は、ワインを片手に、
リイナに詰め寄っている。
自分のことを、語られるのが恥ずかしくなった僕は、
辺りを見回すことにした。
〈リイナ、外、みてくるよ〉
〈は~い〉
そう告げると、壁から外に抜け、屋上まで、上がって行った。
屋上は、屋根になっているだけの簡易なもので、
村にあったような露天風呂のようなものはなかった。
ぐるりと一周、聖都を一望すると、
港で一番大きな建物が、やっぽり、この建物だった。
遠くに街並みに、明かりがみえるところがあるが、
あちらが繁華街なんだろう。
聖都、陸上側には、明かりが連なっている所がないということは、
繁華街のような場所はないのかもしれない。
陸とは、
反対側の海をみると
遠くにある大陸の町の光が見えた。
あっちの大陸にも、
ここと同じような町があるのだろう。
ひととおり観察すると、
大分時間がたった。
また、食堂に戻ると、
未開封のお酒が数本あるだけで、
誰もいなかった。
〈リイナ、どこにいるの?〉
〈3階の奥の部屋にいるわ。
食事をした真上の部屋よ〉
楽しげな声が返ってきた、
まだ、お酒は抜けていないらしい。
僕は、何も考えずに、
真上に上がっていくと、そこは、浴場だった。
下の階と同じように
オーシャンビューが広がっていた。
三人は、僕に向かって
各々ポージングをしていた。
「きたわ」
「ヒビキさん、私が一番ですよね」
「ヒビキ、わたくしですわよね」
「とうぜん、わたしよね」
どうやら、酔っぱらいの余興にされたようだ。
とても幸せな光景だが、後がこわい。
〈ごめんなさい〉
ぼくはしっかり目に焼き付け、急いで食堂に戻った
「にげたわ」
そんな声が聞こえたような気がするが、
3人の裸体しか頭にない僕には、聞こえてなかった。




