第133話 聖都につく前に昼食をとろう
聖都はもう目と鼻の先。
なんだかんだ言って、
あと一泊、野営すれば、
体のありかがわかるかもしれない。
そう思うと、足取りも軽い。
目的先の町も米粒くらいに見えてる。
どきどき、しっぱなしだ。
〈すぐに、体がみつかるのかな?
見つかったら、どうしよう?〉
なんて、質問をリイナに投げかけるが、
暖簾に腕押しのような返答しか返ってこない。
見つからなかった時のことを考えて、
返答を選んでいるようだった。
進んでいく道では、
ときおり、荷馬車や乗合馬車が
横を通過していく。
リイナとの返答は諦め、ジーンと会話をしていく。
「思った以上、往来は多いんだね?」
「そうですわね、朝一の出発便で、
夜遅くには、水上都市までいく強行便ですわね」
ジーンは、思ったことを、そのまま言ってくれるから、
今は、リイナより、話しやすい気がする。
しばらく、風景を眺めながら
歩き進んでいく。
やがて、太陽が真上にやってきた。
「この先に、開けてるところがありそうだね、
あそこで、昼食にしよう」
「了解ですわ。
おなかがぺこぺこですわ」
そういって、こちらに笑顔を見せた。
向こうからくる、馬車に気をつけながら進んでいくと、
半時もしないうちに、広場に到着した。
他の馬車の人たちも、
ここで、休憩をしており、
各々で昼食をとっている。
僕らは、辺りを見回すと、昼食をとれそうな場所を探した。
森側に進むほどに人は少なくなっているようだった。
奥に向って少し進むと、
横に1メートルぐらいある、石の塊を発見した。
あれだったら、地面に座らずに、
椅子の代わりにできそうだ。
「あれを椅子にして、昼食にしよう。」
「いいですわ。
水上都市で、携帯用のテーブルを買いましたの。」
そういうと、カバンから、木片一セットを取り出し、
器用にミニテーブルを作成した。
高さは、膝丈くらいで、
ランチに使うには、ちょうどいい。
僕は、以前tっていうか、大分前に買ってもらったチャーハっぽいものを取り出し、
昨日の昼に箱に入れてもらった弁当箱を一つ取り出した。
その中は、でっかいエビ焼売がは入っていた。
餃子でないのが残念だが、これは、これであう、正解だ。
市場で買った魚介系のスープを取り出したら、
あまりの熱さに器ごと落としてしまった。
草がクッションの変わりをしてくれてよかった。
よかった石の上じゃなくて。
僕とジーンは、それぞれ、コップを取り出すと、
陶器のスープから、自分のコップに移した。
魚介の出汁と昆布のだしでとられたスープは、
朝にだしてもらったスープとはまた違った美味しさがあったが、
米の炒め物には、あわなかった。
よし、焼売にはあうから、
別々に食べ進めよう。
ジーンが取り出した箱には、
ハンバーグがはいっていた。
水上都市の奴かな、きるたびに肉汁がとびだしていく。
フランスパンみたいなパンを一つわたすと、
交互に食べていく。
最後は、肉汁につけて、フランスパンをかじると、
今度は、スープにつけながら、平らげていき、
80cmはあったであろうフランスパンを一人で食べきった。
「はぁ、おいしかったですわ。
あまりのおいしさに、夢中でたべてしまいましたわ」
見事な食べっぷりに魅入ってしまい、ご飯を食べるのを
わすれてしまった。
残っていた焼売をジーンに手渡した。
「まだ、たべるなら、どうぞ」
「いただきますわ」
彼女は、まだ食欲があるようだ。
カエルになるのも、時間の問題のようだ。




