第13話 カエルを追ってどこまでも行こう
結局、昨日は、食べるものは何もなく、
空腹をしのぐために、水をお腹にいれたきりだった。
暗くなったところで、野宿ができそうな場所を探した。
朝、目が覚めると、
僕は、彼女の体におり、
彼女は、幽体だった。
幽体だったときは、
お腹がすいたとか感じなかったけど。
肉体にもどると、お腹がへって
力がでないよぉってことが、まるっと
わかった。
〈おはよう、ヒビキ。
昨日いってたとおりだったわね。
眠ることで、切り替わるのかしらね。
とりあえず、空腹と疲労から、逃れられて、
嬉しいわ〉
〈お は ょ ぅ、リイナ。
空腹と疲労感で、元気がでないよ。
よく、昨日はこれで、頑張れたね。〉
僕は、擦れるか、ようやく聞こえるぐらいで会話をした。
〈とりあえず、水を飲みなさい。
そして、元気に出発よ。
村か、冒険者か、食べ物を発見するのよ!〉
僕はバックから、水筒を取り出し、
水をありったけ、飲んだ。
少し空腹感が紛れた気がした。
〈水筒に水をいれたら、出発するよ〉
〈ええ、今日も元気にいきましょう!〉
こうも、人が変わるのだろうか、
昨日のリイナのように、
水を使い、
水筒を満タンにしてから、出発した。
しばらく、言われるがまま無心に直進したが、
太陽が真上を通過した時には、
歩くことができなくなった。
〈ここで、一眠りをしよう〉
〈駄目よ、もっと歩きなさい。
あなたなら、できるわ。
がんばって〉
風の音のようにしか聞こえず、心に響いてくる感じがしない。
気を失いそうになったときに、
肉があらわれた。
違った、カエルだった。
〈よし、カエルを捕まえて、たべよう。
それしかない〉
〈いやー、カエルは、食べ物じゃないわ。
やめてー〉
リイナは、本気で嫌がっているが、
もう腹ペコゲージが臨界点を超えてる。
カエルは食べたことがないが、
きっと何とかなる。
僕は、カエルに向かって、歩き始めた。
それにしても、足取りが重い。
空腹だから当然なんだろうけど、
一歩近づくと、カエルが跳んで逃げていく。
また、一歩近づく。
今度は、右の方向へ。
僕も方向をかえて、重い足を引きづりながら、
近づいていく。
〈もう、諦めなさいよ。カエルなんかじゃ、
お腹はふくれないわよ〉
何か、僕に話してるようだったけど、
僕の耳には、もうはいってこなかった。
あと一歩というところで、カエルは逃げていく。
気が付けば、半日ほど、逃げていくカエルを追いつづけている。
時間が進むごとに、
視界がどんどん狭まってきた。
〈ヒビキ、後少し行けば、森をぬけ・・〉
リイナが何か言っているようだったけど、
疲労が限界だった僕には何も聞こえない。
足は、もう一歩も動かない、
僕は、カエルを捕まえようと
倒れこんだところで、意識を失った。
カエルは捕まえられなかった・・・・




