第120話 カオスな状況に遭遇したら静観してみよう
誤字修正
話し合いが、
一区切りしたところで、
来た道を戻ることになった。
さっきと違うのは、リイナのあとに、ゴブ八がおり、手をつないだマホちゃんが
いることだ。
まぁ、快く思っていないマイミさんは、ゴブ八をどこまでも、睨みつけているが・・・・
リーダと、道をふさいでいるところまで来ると、
氷の反対側を、炎でとかしているゴブリンがいた。
「あれは、ゴブリンメイジですわ。
あと半時もしないうちに、全て溶かされそうですわね」
このダンジョンを抜けるのに、急げば、数分で脱出できる。
あわてる必要はなかった。
先に進んでいたリイナが、
後ろを振り向いて、
「そうね」
といったときに、ほんの先にあった
バスケットボール大の穴から、ゴブリンが上半身だけだし、
リイナの背中にナイフを突き刺した。
背中には、深々とナイフが突き刺さっており、
リイナは、前のめりに、倒れこんだ。
あたり一面には、倒れたことで、
引き抜かれた際の血が飛んでおり、
ナイフは床に転がった。
マイミさんは、あわてて、魔法を唱え始めた。
「水回復……」
ジーンは、マイミさんの口をふさぎ、羽交い絞めにした。
驚愕の表情のマイミさんの前に、ゴブリンは、もう一度、突き刺そうとしたのか
穴から飛びでて、床に落ちていたナイフを拾おうとしていた。
一瞬早く、ゴブ八がナイフを拾うと、
飛び出して拾い損ねてバランスを崩しているゴブリンの首筋に突き刺した。
ゴブリンは、すぐに息絶え、魔玉へと変わった。
この騒動で、ゴブ八に蹴とばされ、床にころがっていたリイナは、
平然とたちあがると
〈痛かった?
むしろ返って元気になったわね。
服に穴があいちゃったじゃない〉
と後ろの服をみると、悲しそうな表情をした。
羽交い絞めをはずし、ポーカーフェイスのジーンと、驚愕のゴブ八。
化け物っていって、恐怖してるマイミ、すごーいと喜んでるマホ。
この状況を、ジーンの後ろで眺めている僕。
まさか、こんなにも、早いタイミングで
二回もカオスな状況に遭遇するなんて、
思わなかったよ。




