第114話 緊急クエストの話を聴いてみよう
ギルドの前も人気がなかったが、
冒険者ギルド中も、人の気配がなかった。
カウンターにも、お姉さんが一人しかおらず。
ホールには、駆け出しの冒険者と思える女の子が3~4人しかいない。
リイナとジーンは、受付のお姉さんに前についた、
「どういった御用でしょうか?」
お姉さんは、丁寧に受付をしている。
「どうして、こんなに閑散としてるの?」
リイナは、直球でぶつけている。
「祭りが近いでしょ、掘り出し物もでますから、
皆さん、この時期は、そっちにいっちゃいますね」
少し困り気味な顔で返事をしている。
「ふぅ~ん。ちょっと、
泊るところとか、
聖都までの距離を
聞きにきんだけど」
「そうでしたか、大陸の方であれば、教会で全て回答してもらえ、
手厚く助力を得られます。
ここから、右にまがった先に中心街があり、
海側いくと、飲食、特に魚を中心としたバザーが出てます。
反対に山側にいくと、雑貨屋、宿が多く立ってます。
山の方にいくと、教会もありますよ。」
「ありがとう。教会できいてみるわ。」
「今の時期は、ギルドも教会のかたも、
水上都市の手伝いで、出てますから、同じように人は少ないかと
思います。
懇意にしている宿などは、紹介してもらえると
思いますから、言ってみるといいと思います。
あと、ついでですが、、聖都 エイトビまでは、1日半~二日も歩けば、
つくと思います。野営は、することになると思いますね、
強行はお勧めしません。」
お姉さんは、たんたんと説明している。
「わかったわ、ありがとう。
教会にも顔を出してみるわ」
そういって一礼し玄関の方に向かい始めた。
お姉さんは、あわてた様子で、テーブルに手をつくと、
二人を呼び止めた。
「冒険者様、
ちょっと、困ってまして、相談に乗ってもらえませんか」
「乗らないですわ」
ジーンは、振り向いて返答すると、再度歩き始めた。
「そこの綺麗なお姉様のお二人、お願いします!」
「なに、話くらいなら、聞いてあげてもいいわ」
リイナは、振り返ると、お姉さんに笑顔を向けた。
ジーンは、振り向かず、そのまま出ようとしている。
リイナは扱いやすいんだな。
「ありがとうございます。
マーメイド、魚人族の娘さんが、
ゴブリンに、今朝がたさらわれたとかで、
緊急クエストを発行してるんです。」
「どうして、誰も行かないのよ」
「これが人族ですと、教会がすぐに動いてくれて、予算がでるんですが、
魚人族ですと、どうしても内部の申請が遅いとかで、まだ、正式に発行してないんです。
ですから、本人から分の200βしか、出ないんです。
危険の割に安すぎて、誰も、行かないんです。
緊急クエストが発行されれば、10倍くらいでるんですけどね」
「それでも、安くても行ってくれる冒険者はいるでしょう。
もしかして、他の冒険者は、あの若い子以外いないの?」
「そうなんです、いつもいる冒険者さんは、昨日みんなむかっちゃいまして・・・
時期が悪かったというか、なんていうか。」
「場所は、判ってるの?」
「詳しくは、聞いていません。本人に聞いていただくしか・・・
さっきまで、おられたんですが、
目の前にいましたが、現状を聞くとでていかれました。」
「よく、まるで、話をきいてないクエストを、お願いするわね。
しかも、状況は抑えようとしていないし」
「賢く素敵な冒険者様であれば、
簡単にこなせていただけるかなぁと
思いましたもので」
切実な表情を浮かべながら、リイナを見てる。
先ほどから、ジーンの方を見ていないところから考えると、
そっちからでは、崩せないと
判ってるのだろう。
「いいわ。受けてあげるわ。
ジーン、クエストを受けておいて、
わたしは、本人に状況を聞いてみるわ」
「ふぅ、面倒くさいですわね。
どうすれば、いいのですわ」
しぶしぶながら、話を進めてくれてるようだ。
〈冒険者ギルドの前にいた巨乳のマーメイドさんかな?〉
〈でしょうね、巨乳はいらない情報ね。
まったく、あからさまなおだてに乗って、受けたと思われるのは、
ちょっと癪よね。
場所がわかってれば、ゴブリンなんて、殲滅するだけよ。
杖の呪いが無くなった以上、
本気のわたしをみせてあげるわ。
蹴散らしてあげる。
期待してなさい!〉
なるほど、人からは感謝されるし、
自分の実力を僕に見せつけれるし、
一石二鳥ってことか。
僕からしたら、ジーンの実力も分かるから、
一石三鳥ってところかな。
〈危なくなったら、謝って、
クエストを破棄するんだよ〉
〈わたし、大魔道師 リイナ様が、ゴブリン如きに遅れはとらないわ〉
大した自信だ、が。
〈大魔道師は、自称でしょ?〉
〈自称よ〉
腕組みをしながらこちらを見て、
どや顔をしながら、扉を開けて、美人マーメイドさんに向かって行った。
奥で、ジーンが、お姉さんを困らせているが、
リイナの方について行こう。




