第113話 魔法の布をつかった朝をむかえてみよう
目が覚めるといつも通り、ぷかぷか浮いてる。
海がみえる場所のためか、朝日がとてもまぶしい。
〈おはよう、リイナ。寝袋はどう?〉
〈おはよう。いいわね。下手なベッドより、快適ね。
今後は、ベッドの上に、寝袋でもいいかもしれないわ〉
少し失礼な発言があった気がするが、
流石最高級だ。その発言は、わかるかもしれない。
それだけの高価なものが他の宿には、ないだろうしね。
ただ、大きな問題がひとつあった。
ジーンを起こせないことだ。
ジーンが声をださないと、どこにいるのかわからない。
となりにいたはずのジーンだったが、
おはようとリイナが挨拶すると、
数メートル先から、声がした。
探しながら、声のする方に向かってみると、
リイナは蹴とばしたみたいだ。
空中で歩いていた足がとまっている。
空間に向かって、リイナが謝っている、わざとですわねって声が聞こえたが、
見えないものを蹴とばすのも、むずかしいな。
ジーンが寝袋からでたことで、
少し頭が回り始めたようだ。
わざとじゃないことを理解してくれた。
二人で今あったことを笑い話にしながら、朝の準備をしている
っていっても、弁当と水だけだが。
今回は、リイナはゆでカニだったが、
ジーンは、タンシチューだ。
パンは、白パンを取り出すと二つにわけて、
ジーンに手渡している。
さらに、バックから、サラダを取り出し、
同じように渡している。
こういった配慮は、僕にはむずかしいな。
しかし、傍からみると、朝からかなりの量で、豪華だ。
食べきれないんじゃないかと思ったら、
相変わらず、ジーンが、お腹がはちきれんばかり食べてる。
カエルだった影響がはやく呪いの影響がなくなるのを祈るしかないな。
少し、お腹が落ち着くのをまってから、
村に向けて出発し始めた。
今から出発すれば、
お昼前には、到着するだろう。
村が近づくにつれ、
乗合馬車や荷馬車が大量にやってきており、
二人は、砂浜を歩いていく。
朝だと、日照りの返しがすくないのかな、
幽体の僕では、感じ取ることができない。
足を取られるせいか、
思った以上のスピードは出ていない。
カエルは、お腹が膨れてるせいで、
いっそう、歩くスピードが遅い。
それでも、目的地が見えているせいか、
足取りは軽い。
特に問題が起きることもなく、
順調に砂浜から、村に到着した。
この辺も、指輪の影響があるかもしれない。
上空から見ると、でっかい烏賊が遠くに見えるが、言わない方がいいだろう。
村に到着すると
ゲートの近くにある建物があった。
看板から、たぶん冒険者ギルドだと思う。
その建物の前で、泣いている女性がいた。
彼女の外見に違和感があるが、
リイナとジーンは、気にしていないようだ。
腕や背中にひれがある、
足のところにも、
人間でないのは、明白だ。
〈あれは、何?〉
〈あれとかいわないの、あれは、マーメイドね、魚人族よ。〉
言うなっていいながら、自分でいっている。
ジーンが言うには、
この村は、魚人との差別が残っている人もいるって
はなしだった。
二人は、彼女に声をかけずに、
横をすり抜けて、冒険者ギルドに入った。




