第110話 呪いの整理をしてみよう
僕とジーンは、それぞれお弁当箱をとり出した。
彼女のおかずは、ジンギスカンだった。
羊の肉に各種野菜をいためたものだ。
すでに垂れはかけてあるから、そのままでいただける。
僕が取り出したのは、
野菜やキノコの天ぷらだった。
天つゆがかけてあった。
彼女の好みは、
野菜だったから、
羊肉は、僕がメインで食べることになった。
黒パンを二つ取り出し、
一つを、ジーンに手渡した。
どっちも味付けがいい。
ちょっと生暖かい感じで、アツアツじゃないのが残念だが。
アツアツだったら、もっとうまいだろう。
僕は、白湯をのみながら、
次回こそは、飲み物を買うぞと誓った。
手袋をはずすと、
二つの指輪が目にはいった。
片方は、エルフの指輪で、
もう一つは、呪いのとけた状態異常耐性強化のスキルをもった指輪だ。
バジリスクの血を鑑定するときに、
しっかり、見ていたから、今度は、成功する自信がある。
二つに鑑定をかけてみる。
「鑑定」
<<名前:偉大なる指輪>>
<<種別:指防具>>
<<ユニークスキル:状態異常耐性強化>>
<<価格:???>>
こちらは、予定どおりだ。
以前にシャルルさんに解呪されたまま、
内容が聞こえてきた。
「鑑定」
<<名前:幸運の指輪>>
<<種別:指防具>>
<<ユニークスキル:幸運>>
<<価格:???>>
「へぇ、幸運の指輪っていうんだね」
「そうですわ。
エルフの王宮に代々保管されていた、指輪で、装備を禁じられてましたのですわ。
呪いを解くことで、幸運が訪れるって言われてましたのですが、
不幸を呼び寄せる呪いが、かけられてるって、言われてましたから、
誰もつける人は、いませんでしたわ。
わたくしも、つけてる人みるのは、初めてですわ」
白湯をふーふーいいながら、大事なことを教えてくれた。
「これ、呪われてたの?」
「そうですわね。リイナは気づいてませんでしたが、
3年前に、初めてわたくしが会ったときには、指輪をはめておりましたわ。」
そういって、まだ、ふーふーしている、
きっと猫舌なんだろう。
〈リイナ、覚えてる?〉
〈あったときも、指輪を付けたくだりも、全然、覚えていないわ〉
さっぱりな、顔をしているから、本当に知らないんだろう。
「リイナは、誰からもらったかも、
呪いの影響で思い出せないですから、しかたないかと思いますわ。
同じ体で呪われてるのですから、ヒビキも思い出せないと思いますわ。」
むしろ、しっかり理解しているジーンに感動を覚えた。
「どうやって呪いが解けたんだろう」
「今の状態しか判りませんから、難しいですわね。
わからないことに固執するより、
次の呪いを解除できるかを考えた方がいいと思いますわ」
そういって、白湯を飲んで、
熱かったのか、そのまま、コップに戻した。
今の行為は、見なかったことにし、
「でも、呪いの条件なんて、わからないんでしょ」
「そうですね、はっきりとはわからないですわ。
推測は、できると思いますわ。
威力低下の杖は、戦闘に関することで、解除できると思いますわ。
思考低下と回想力低下は、普段の生活にかかわる何かだと推測できますわ。〉
そういって、再度白湯を少しづつ飲み始めた。
「全然、わからないよ」
「思考低下がかかってますから、
考える力が弱くなってるはずでの、難しいかと思いますわ。
ただ、幸運の指輪があることで、
普段の行動をしているだけで、
うまくいくように転がりますわ。
いずれ、呪いも全て解呪できますわ」
最後に言いきって満足したのか、
白湯を一気に飲んだ。
当然のごとく、あわてて、水を飲み始めた。




