第100話 正直に話すことが難しいことを理解しよう
クロムさんがまとめるとこうだ。
犯人を捜し出したいが手がかりもないから、
見つけることは至難の業だ。
だが、犯人が見つからないってままじゃ、示しがつかない。
また、安全になったと説明ができないから、
スケープゴートが必要。
本来なら、モンスターを討伐したリイナを讃えたいが、
火薬樽をなくして、次回の楽しみにしている人間の手前、
単純にほめると、他方面から、クレームがあがる可能性がある。
だったら、ほめるのではなく、全ての責任をリイナのせいにすれば、
一人に責任転嫁することができ、まとまるって筋書きらしい。
仮に、この先で犯人が見つかっても、別人で過ごせばいいし。
そもそもリイナを知っている人間もすくないから、
一部で黙秘してしまえば、
犠牲は最小にできる。
本来なら、転移者のヒビキの件を告白すれば、
優遇されるべき使者をたてに、会話をするできるが、
教会の弱みを握らせたくないオリビエさんは、
結局しなかった。
直ぐに話の展開が読めた、
クロムさんを連れていけば、ヒビキの件を話をしてしまう可能性から、
連れていかなかったってことみたい。。
違う意味では、責任はオリビアさんが被るつもりだったのかもしれない。
「ジーンさんにお願いしたいのは、
ヒビキ様を、聖都まで連れて行って
貰いたいのです」
オリビアさんは、ジーンの手をにぎり、
誠実にお願いをしている。
オリビアさんは、
他の冒険者さんに依頼をだすと、
一件がばれるリスクがあって、よろしくない。
かといって、教会のシスターを出すには、
道中の戦闘では役不足で、心配とのことだ。
「仮に、断ったらどうなりますの?」
ジーンが顔色を変えずに、聞いてきた。
「断られてもかまいません。
その場合は、一人で向かってもらうかもしれません。
デッドリーのような危険に会うかもしれませんね」
脅しににも似た、お願いをしてきた。
クロムさんは、苦虫をつぶしたような表情をしながらも、
口を出さないで、話の展開を見守っている。
「いいわ。ただし、お願いがあるわ。
教会には、私のエルフの仲間の行方を捜していただくわ。
これまで、通ったところには、いませんでしたの。
それと、
リイナたちには、ローブを含めた、エルフの秘宝を
返してもらいたいですわ〉
彼女は、そういって、
リイナの装備を指さした。
「呪いのきっかけになったローブ。
エルフの廃墟で、ドアを開けるきっかけになった杖。
お風呂に入るときに見かけた、左薬指にある幸運の指輪。
この三つは、私がカエルになる前に、エルフにあったものですわ。
渡していただくことは、できますかしら?」
「いいわ。装備に関しては、特になんだっていいし。今渡せばいい?」
「ヒビキの体が見つかったからでよろしいですわ。
その時までに、エルフの村のこと、探しといてくださいましね。」
「わかりました。
では、各々の契約も合意がとれたようですし、
お開きにしましょう」
そういうと、夕食後の2時間のお茶会は終了し、
オリビアさんは、疲れた顔をして帰って行った。
「ヒビキ様、リイナさん、ジーンさん、
こんなことになってすみません。
オリビアさんも、本来は納得できてないと思っているんです。
教会の為を思うことで、自分を犠牲にしているのです。
それだけは、判ってください」
と深々と頭をさげた。
僕は、いたたまれない思いをしながらも、
それを伝えるとこのできないもどかしさを
感じるしかできなかった。




