表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
森神-morigami-  作者: 遊部
7/10

第六章『会話』

久しぶりの投稿です。日常生活の合間を縫って地道に書きました。

今回は説明と前回の状況の収集が主です。

 一応俺は今、森野高校の制服を着ている。まだ午前四時頃なのに。……何だか入学式が待ちきれなくてランドセルしょってる小学生みたいだ。


 でも今の俺に小学生みたいなワクワクドキドキはない。あるのは雑念と疑問だ。



 まぁ、順を追って説明していこうか。まず、俺が高校の制服を着ている理由。その理由は二つ。


 その一!

どうせあと三・四時間程度で学校に行くんだからこれで良いだろう。と、思ったから。



 その二!これが重要!

何故だか御丁寧に俺の部屋の床に制服が畳んで置いてあったから。しかも、前日着てたであろう制服が。……ちなみに俺の制服の隣りには雨宮の制服もあった。そして俺達は何も着てない状態。俺としては、全裸でタンスまで行って服を出す。なんてしたくなかった。だから制服。


「でも何で脱がされてるんだよ」


 制服が畳んで置いてあった。と言う事は、誰かが脱がしたって事だ。でも一体誰が……。


「う~ん。こればっかりは雨宮が起きないとどうにもならないか」


 …ん?何か独り言が多いって?


 …いや、正直独り言とか言ってないとやってらんないんだよ。


 考えてもみようか。今俺のベッドには女子のクラスメイトが静かな寝息を立てて寝てる。うん。これだけでも、思春期の男子高校生には辛いものがある。なのに、それに加えて格好が全裸ときた。正気を保つには何か他の事してないといかんのだよ。


「っていうか、起きろ!起きやがれ!……いや、起きてくれ!起きてください!」


 俺はベッドから少し離れ比較的小声で言った。…いや、分かってるけどね?こんなことしても起きない事ぐらい。でも、少しでも気が紛れるじゃないか。だから…。


「ん……」


 まさかホントに起きるだなんて思ってなかったわけで……。


「よ、よう。起きたか……?」


 俺は若干ビクビクしながら雨宮に話し掛けた。一歩間違えば強姦未遂と言う名の濡れ衣を突き付けられかねない。


「…起きた」


 いつもの無機質な返事が帰ってくる。…いや、いつものっていうのも、おかしいか。会ってあんまりたってないし。何だか結構長く知り合いな感じはするけど、正確には会ったのって昨日の入学式とあの卒業式の時だけなんだよね。……そういえば、雨宮と初めて会った時、雨宮は何であの場所にいたんだろう?予言があったとか言ってたから、それに従って行動していたってことなのか?う~ん…。


「…服着ないと」


 俺はまた雨宮と出会った時のことを思い出していたので、雨宮の言った言葉を聞き逃してしまった。が、何かを言っていたのは分かったので、何を言ったのか聞こうと俺は雨宮の方を振り向きながら聞いた。


「なぁ、雨宮。お前さっき何て言っ………」


 直後、思考停止。


 ……視線の先には雨宮が居た。あぁ居たさ。




 布団から出て全裸でベットの上に立っている状態でな!くそ…あの一瞬だけ服着てないの忘れてた…。


 しかも、あまりの驚きに体が固くなり身動きがとれない。視線を逸らす余裕もない。頭の中も真っ白だ。だから、幸か不幸か俺は雨宮の身体を隅々まで見れてしまった。白くキメ細やかな肌。胸は小さいけれど、とてもバランスが取れていて綺麗な形を…って何考えてるんだよ俺!……万一訴えられたら勝てる気がしない。


 しかし雨宮は何事も無い様に、すーっ自分の制服の前へと行き、着替え始めた。これで俺も一安心………ん?


「ところで雨宮。俺達何で服着てなかったんだ?」


 何だか疑問のない動きで服を取りにいったからな。もしかしたら知っているかもしれない。もちろん雨宮のほうは極力見ないように顔をそむけたまま聞いている。


「…私が脱がせたから」「ちょっと待て」


 それは流石に待てよ。おい。おかしいって!何で同い年の娘に服脱がされてるの俺!?


「ってか、何で脱がしたんだよ!」


「……長老様が『男女が同じ布団で寝る時は服を脱ぐべきなのじゃ』と」


「その長老様って只の変態じゃねーか!何偏った知識教え込んでんだよ!」


 そいつ雨宮に何てこと教えてやがる。その知識のせいで今俺はものすごい事になってるわ。


「ってかそもそも長老様って誰!?」


「貴方が昨日会った大木」


 あいつか。あの野郎、覚えとけよ。次会ったら、ライター使って髪の毛(葉っぱ)燃やしてやる。燃やし尽くしてやる。






「いや、でもそれ以前に聞くべきことがあったな」


「…何?」


 雨宮は制服に着替え終わって、ベットの淵に座りながら答えた。ちなみに俺は部屋の床に座布団を敷いて座っている。


「そもそも何で俺と雨宮は一緒に寝てるんだ?」


 何となく分かるけど。さっきの雨宮の証言を聞いて、何となく分かったけど。俺達を同じ場所に飛ばしたのは、多分あの変態長老だから。でも、人間希望には最後まで…すがりつきたいだろう?だから信じたいんだ。俺が考えている事はきっと違うん……


「長老様に『あの少年と一緒に寝てやるのじゃ。』と、言われたから。……その後には『グフフ。思春期純情高校生はどんな反応をするかの』とか言っていた」


 ……俺の淡い希望は、たった今俺の部屋の塵埃となった。そして、こんにちは殺意。あの大木野郎。次会ったら葉っぱだけでなく全身を焼滅させる事に昇格だ。最近の高校生を舐めるなよ。


 そんな事を思いながら俺は雨宮に教え込まれていた意味不明で偏りすぎな知識を、否定および矯正していった。





 何となく時計を確認すると時刻は午前5時。そうこうしている間に1時間たっていた。…ふむ。そろそろ親も起きてくる時間だな。


「雨宮、そろそろ帰らないのか?親御さん心配してないか?」


 時間が時間だったから、本当に何気なく聞いたことだった。だから……


「私には帰るところなんて無い。親もいない」


「なっ…!」


 雨宮のこんな返答は予想していなかったわけで


 そう言った雨宮の顔は表面的にはいつもの無表情。でも、その内に見える表情からは何か寂しい。悲しい。といった負の感情が感じられた。多分俺か(・・)ずっと雨宮と一緒に居るような奴しか分からないような微々たるものだけど…。


「あ…いや…」


 しばらく俺は何を言ったらいいのか分からなかった。そんな俺を見て雨宮は口を開いた。


「その事はあなたには関係ない。それに問題はない。帰る場所はもうないけど、帰ってもいい場所はあるから」


 やっぱりよく分からなかったけど……でも、さっきの表情から考えてあまり話したくないことなんだろう。そう思ったから俺はそれ以上聞こうとはしなかった。


「それで、お前はいつまでここにいるんだ?」


 話を変えたようで完璧に変えられていないのは、俺の力不足だ。許せ。


「あなたの発作が起こるまで」


「発作?」


 おいおい。何だか絶対に良い意味では使われないだろうこの単語。俺に何が起きるっってんだよ。


「通常の人なら起きてすぐに発作を起こしても不思議ではない。でも、あなたは未だに発作を起こしていない」


「いや、話がよく見えないんだけど……何で発作が起きるんだ?」


 今回はヒントが少なすぎる。一人で考えるのは無理だ。


「あなたは昨夜、向こうの世界に行った。向こうの世界の大気にはこっちの世界とは違う物質が一部含まれている。その効果により、あなたは発作を起こす」


 なるほど。でもな?そういう事は先に言っとけよ。いきなり発作は嫌だっての。


「って、発作とかヤベーじゃん!それ向こう行ったら毎回おこるの?」


「違う。今回だけ。発作には力の目覚めの意味もある。力が目覚めれば発作は起きない」


 なるほど。力って言うのは屋上で雨宮が使った様なものか?その発作が起きれば、俺も雨宮のような力が使えるって事か。でもなぁ…


「発作が起きない方法とかないのか?」


「ない。あなたは確実に発作を起こす。発作が起こっているときなら私が補助して痛みなどを緩和することができる」


 はーっ…どうあっても発作は起きるんだな。しかもあと少しで。避ける方法がないなら焦っても無駄だな。


 正直な話、力なんて要らないから、発作を起こさない方法とかあってほしかった。でもそれが無いのなら、この時間を使って今までの疑問を解消していくか。予備知識は多いほうがいい。俺の発作が起こるまでは居るみたいだし、色々聞いてみるか。聞きたいこともあるしな。


「雨宮。お前が昨日の夜言ってた、『あなたはこの世界の救世主』ってどういう意味なんだ?」


 俺が言われてからずっと気になっていたこと。……正直全く信じられない。ってか、それが普通だ。いきなり「あんた救世主なんだよ~」とか言われても信じられないから。マトリッ●スのネオだって最初は全然信じてなかったしな。


「そのままの意味。あなたはあの世界。プラントワールドの救世主」


 ……質問の仕方が悪かったな。うん。


「あー…いや、そういう事じゃなくて…。まぁ、俺が救世主であるってことは100歩譲って分かったとしよう」


 分かってないけどさ。


「でも、救世主が必要って事は、あの世界で何か起きてるって事だよな?一体何が起きてるんだ?」


 救世主が必要とかもの凄い大変なことだよな。それは知っておいて損は無い。……俺が救世主だとか助けられるのかとかは別として。


「今あの世界は、巨神『テュポーン』復活によって消滅の危機にある」


 例のごとく全く分からん……。テュポーンって何だ……。


「テュポーンは『初代森神』が封印した最強最悪の怪物。それが今復活しようとしている」


 俺の無言をどう受け取ったのか、雨宮は続けて教えてくれた。いや、それよりもだ。


「森…神?森神ってあの御伽話の『もりがみさま』の森神か?」


「そう。あの御伽話は事実を元に作られたもの。森神は実在する」


 『森神は実在する』その言葉を聞いたとき、俺は幼い時に出会った女性のことを思い出した。





---私は森神様なの。あなたにお守りをあげるね?いつも肌身離さず持っていれば君の体はきっと良くなるよ。





あの時のことを思い出した俺は……少しだけ、ほんの少しだけ…この話を信じてもいいんじゃないかと思った。



どうも。後書きです。

 今回の話はどうでしたか?説明多い!とか、何回も同じこと言うな!というような感じでしょうか?


 今回、前半のほうは前回投げっぱなしにしていた状況の収集をしましたが……前回よりも酷くなってるようなorz

気にしないで下さい。


 後半部分では、やっとこの話の核に触れ始めました。ここからが本番です!頑張っていきますよ!読者0人になったとしても突っ走っていきます!

……でも、アンザスさんはあの広大な話を3カ月かからずまとめたのに、俺話の核に触れるまでに1年かかってますよ…。どうしましょうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ