第九章『到着』
お久しぶりです。久々の更新になってしまいました><
それに見合う程の内容かどうかは分かりませんが、取り敢えずどうぞ。
「めんどくせぇ~!ってか、この森どこまで続くんだよ…」
俺は今雨宮と一緒に『ニブルヒルズ』という街があるという方向に向かって歩いている。
しかし…一向に抜ける気配がない。もう1時間くらい歩いてるんだがな~…。
「長老の居たあの場所は、この森の中心部分。そこから半径5キロに渡って森が続く」
雨宮がいつもの無表情トーンで答える。
5キロって…それだけでもスンゴイ疲れるのに、人通りが無いからか地面が柔らかく踏みにくくて進むのに体力使う…。マジで帰りたいです。
「面倒くせぇ~…。ってか雨宮は疲れないのか?」
「この位では疲れない」
この小さな体のどこにそんな力があるんだろうか…。もしかして…
「雨宮は、あの超能力でスタミナ増強とかしてるのか?」
「超能力ではない。あれは【クレア】と呼ばれる力。私はそれで疲れを抑えている」
結局は同じ事じゃねぇかよ!しかし、今の会話であの力がクレアっていうってのは分かった。
やることも歩く事しかないし、色々と聞いてみるか。
「そのクレアって力は色々な使い方があるのか?あの木に襲われた時に出した力もクレアなんだろ?」
「そう。クレアは色々な使い方がある。あの時私が使ったのはクレアを物質化して体外に排出する【ブラスト】」
「じゃあ、今使ってるのは?」
「今使っているのは、内側の力…つまり筋力や感覚機能を上げる【ストラス】」
「ふ~ん。色々あるんだな」
「他にも、治癒能力の【リキュアル】や、予知能力の【ヴィジョン】等がある」
「それは誰でも使える力なのか?」
「ブラストやストラスは練習すれば基本誰でも使えるようになる。他の能力は、その人の潜在能力に左右される」
「なるほどね~」
「それに、ブラストやストラスも、その人の潜在能力によって扱える力が異なる」
…頭痛くなってくるな。いや、言ってる事は何となく解るんだけどね。あれだよ、授業の内容は理解出来るけど難しい話ばっかされると何か頭痛くなるっていうあれ。
でも、俺があの力を直に見てなかったら正直信じらんねぇ様な話だよな。そんな力が人間にあるなんてさ。
だって、超能力とかそんなのはインチキだと思ってるような俺だぜ?でも、これが真実っぽいし仕方ないんだよね~。
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「うだ~!長すぎだろ!!あれからどんだけ経ったと思ってるんだよ!」
あの話をしてからもう既に2時間は経ってる。普通に着いても良いだろ。
「もうすぐ着く。あれを見て」
雨宮はおもむろに人差し指を立てた手を前に向けた。
…前には只森が続いてるようにしか見えない。
「何にも見えないぞ?」
「あそこには結界魔法が施されている。良く目を凝らして見て」
「ん~…あ!」
良く見ると…ホントによく見ると空間が少し歪んでるのが分かった。
「でも何でこんなことを?」
「ここは長の住む森。敵にばれないようにカモフラージュしてある」
成程ね。まぁつまり、偉い人(?)は狙われるから隠してるってことか。
「…着いた」
俺達は、歪んでいる空間の前に着いた。そして、雨宮は右手を前に出し、何かを言った。
いや、ホント何て言ったのか分からないくらい早口だった。
その詠唱が終わると同時に、空間に丸い穴ができ、その先には、ゲームとかでよく見るような村が…俺たちが目指したニブルヒルズが広がっていた。
「こんな場所もあるんだな…」
あのクソ大樹も森だけじゃないって言ってたけど、正直俺は信じてなかったんだよね。だってあのクソ大樹の言う事だし。
「で、ここで俺たちは預言者に会いに行けばいいんだな?」
「そう。彼女に会う事がまず第一条件」
「あの屋上の事を予言したのもそいつなのか?」
俺がそう聞くと、雨宮は何も言わずただ頷いた。
「よし、じゃあ行くか。何処に居るんだ?」
「この村の中心に位置する場所に彼女の家はある」
そういうと、雨宮は村を歩き出した。俺もそれについて行く。
周りを見ると、何人か人を見かける。しかし、ちょっと変だ。
皆こっちを見てヒソヒソと何か言ってるし、よく見ると耳の形が変だ。…どう変かって言うと、耳がとんがってるんだよ。まるで…
「ここの人達…エルフみたいだな」
「ここの住人の大半はエルフ」
…はい、予想大正解のようです。確か読んだことのある本では、エルフは人を嫌ってるとかって言うから、ヒソヒソ話されてるのは人間が珍しいからかのか?
しかし…視線が痛いですよ。だって、皆さん凝視です。見まくってます。
あと、何か女性ばっかだな。外に出て俺達の事を見てるのは、俺が確認できる限りで言うと女性だけ。
「ここ」
そういうと雨宮は一軒の家の前で止まった。
成程、ここに預言者が居るってことか。
俺がそんな事を思っている間に、雨宮は何の躊躇も無くその家の扉を開け、中に入っていく。
「ちょっ…待てよ!お邪魔します~」
俺も急いでそれに付いて行った。
「どうも、預言の間へ。…って美鈴?」
入った瞬間俺たちと同じくらいの歳に見える女の子が出迎えた。
雨宮のことを美鈴って呼んだり、表情の変化からして知り合いみたいだな。
って、当たり前か。だって俺たちは雨宮の知り合いに会いに来たようなもんだからな。
「しかし…預言者結構若いな」
俺はぶっちゃけ、もっと婆さんを想像してたよ。
「いやいや、私は預言者じゃないですよ~?私はその弟子…みたいなものです」
「あ、そうなのか」
「おやおや、やっと来たようだねぇ」
そう言いながら、部屋の奥から誰かが出てきた。
「あ、師匠!」
出てきた師匠と呼ばれた人はゆっくりとこちらへ近づいてくる。
見た目はお婆さん。服装は全身ローブを纏い、杖をついている。なんか、THE・預言者って感じ。
「お主が救世主か。ふむふむ。やはり、予知で見るのと実際に見るのは違うもんだねぇ」
何か俺ものすご~い至近距離で凝視されてます。はい。
これだったらさっきのヒソヒソ凝視の方がましだったかも。
「それより師匠~!美鈴が来るって何で教えてくれなかったんですか?」
「あれ?教えとらんかったかな?まぁええじゃないか」
「…貴女が預言者…ですか?」
俺は恐る恐る聞いてみる。まぁ、100%そうだろうけどな。
「うむ。そうじゃよ?妾の名は『エルシア』お主が来るのを待ってた」
どうも、後書きです。
今回は色々詰め込まれてますね。
能力の正体、そしてニブルヒルズ、そこに住む人たち。
そして、預言者。
ファンタジー要素が凄くなってきました。ジャンル変更した方が良いかもしれない。