戦場で輝いた宝石
お題、私が愛した女。制限時間、15分です。
殺伐とした戦場で過ごす傭兵家業を始めて10年。俺はもうまともな生活というものが分からなくなっていた。
起きている間中、見回りをし、訓練をし、戦う。
やっと出来た時間は仮眠と武器の手入れに費やす。
命を燃やす戦場にいて、自分が生きているのかすら分からなくなっていた。ただひたすら、死なないために一日をこなす。
そんな日々の中にその女は入ってきた。
けして若くはなく、突出して美人でもない。長い金髪をきっちりと三つ編みに結い、少し鋭い瞳で全体を見渡して、細く白い手を鎧から突き出し、戦場で誰よりも輝いて武勇を鳴らす。
強く、気高く、そして汗を散らし、返り血を浴びてこそ美しいくなる女。
戦場で目を奪われた彼女は、私生活では予想外に優しくて。仲間のけがを心配したり、食事の世話をしたり、荒れ放題の住処の掃除をしたり。
目を引かれる素晴らしい女だ。
けれどどこか抜けていて、今日もトーストを食べながらケチャップを口の端に付けている。
これが戦場で会い、死を共にしたいと願う、俺の愛した女だ。