会長とご対面
「ようイオリ!遅かったな!」
「いえ。この方が何度も無視をされたもので強行突破に・・・」
「それ・・・犯罪っていうんだぜ?」
「あれ~?イオリ帰ってきてたの?おかえりなさ~い」
「はい。先ほど戻りました」
「ねぇ、イオリ・・・」
「これから会長のところに行くので後でもいいですか?」
「分かった。じゃあ、また後で・・・」
さっきからこの調子だ。町を歩けば、あちらこちらから目の前の男_菴さん_を呼ぶ声がする。
これで名刺に書かれていた名前が分かったのだが・・・。
「あんた、実はモテたんだね・・・」
「一応、会長補佐という肩書もありますからね。それ目当てで近づいてくる方もいるのですよ」
これまた難儀な・・・こいつ、ひねくれ方が半端ねぇな。
コンコン
「失礼します、会長」
「まだ入室許可出してないんだけど・・・」
「あなたは逃げ足が速いので・・・許可を出す前に逃げられても困りますからね。」
「・・・まぁいいや。とりあえず、おかえり。イオリ。後ろの子を見る限り、現世の下見は満喫できたみたいだね」
会長さんは、性別のわからない方でした。
「あの!ちょっと質問いいですか?」
「はい。なんですか?なんでも聞いてください。答えられる範囲なら何でも答えてあげますよ。
そちらの“イオリくんが”」
あ、きっとさっきの仕返しなんだな・・・。
「なんでですか。そこは質問を受け付けた会長が答えるべきでしょう」
「いいじゃないか。“会長補佐殿”?」
そう言われては何も言い返せないのか、深くため息をついた後、私をみてものすごく不本意な顔で聞いてきた。
「で?何か質問は?」
菴さんに申し訳ないと思いつつも質問攻めにしてしまった。
でもそのおかげで分かったこともあるしなぁ・・・。
_回想_
「あの、ここはどこですか?どうやったら帰れるんですか?それと、現世って?ここに来るとき人間にとってはって言ってましたけど、貴方たちは人間じゃないんですか?」
「あ“あ~!もういっぺんに聞かないでくださいよ!!わたくしは聖徳太子じゃないんですよ!?一個づつお願いします!!」
(イオリが切れるなんて、珍しいこともあるものですね。)
「会長ニタニタしないでください。気持ち悪いです。あ、質問をひとつづつどうぞ?」
「あぁ・・・すみません。じゃあ、ここはどこですか?」
「ここは日本の妖たちの住む町ですよ」
「帰る方法は?」
「ないです」
「じゃあ、貴方たちは人間じゃないんですか?」
「そうですね。会長は“九尾の妖狐”です。わたくしは"さとり”ですね」
「・・・現世って、何ですか?」
「貴方たちが普段住んでる世の中のことですね」
_回想終了_
帰る方法がないなら、どうやって生活するべきか・・・。
「働いてください。できれば、会長補佐を変わってほしいところではありますがね」
「嫌です。働いたら世の中負けなんですよ」
「ならわたくしが仕事をあっせんして差し上げますよ」
・・・人の話、聞いてました?




