6、ミートボール、他
#呟怖 はじめました。
【考古学探偵】とある山の中で女性の白骨シ体が発見された。遺留品は一切無く、身元の特定は難しい。なにしろ数百年前に亡くなっているのだ。その現場に、一人の男が現れる。「私は考古学探偵。犯人は彼女の夫です。浮気を責められ犯行に及びました」まるで見てきたかのように言うが、誰も確かめられない。
【パラレルカメラ】パラレルカメラというのを買った。そのカメラのファインダーを覗くと別の風景が映る。タンポポは黄色くないし、よく行く喫茶店は散髪屋だし、妻は男性に変わる。庭に向ければ、死んだ親父が盆栽をいじっていた。声をかけ、振り返ったところをパチリ。すると見たこともない表情が撮れた。
【伊藤先生】とある小学校に銃を乱射する男が侵入した。あがる悲鳴、逃げ惑う生徒たち。そんな中、国語の伊藤先生が気配を殺して壁に張り付いた。「みんな逃げなさい。あとは私がなんとかする」五分後、床に昏倒する犯人。伊藤先生は元傭兵だ。「彼には平和という言葉を身をもって教えてあげました」
【ミートボール】これは本当にあった話なんですけど。昔、妹はミートボールがすごい好きだったんですね。で、ある夜、ぱくぱくとミートボール食べてたら、ガリって固いのに当たってしまって。吐き出してみたら「人の親指の爪」っぽいのだったんですよ…。
【ドブネズミ】うちの近所の空き家には、子猫くらいの大きさのドブネズミが棲みついている。近所の人は何度も、その影がその家の窓を横切るのを目撃している。最近その影が、大きくなってきた。どれくらいかというと、柴犬くらいである。隣の家の加藤さんも見たと言っていた。
【母親の影】駅から自宅に向かっていると、小さな男の子とその母親らしき女性が前を歩いていた。男の子は母親に向かって「パーンチ!」と殴りかかるマネをしている。そういうのが好きな年頃だなあと思ったが、すぐにギョッとしてしまった。拳が当たった瞬間、母親の影が「くの字」に歪んだのだ…。
【食事する音】大学に通うために都下のアパートを借りた。家賃は四万円。立地の割に安すぎるが、不動産屋は事故物件ではないと言う。だがある夜、妙な音がしはじめた。真っ暗な台所から物音がする。麺をすする音、スナック菓子をむさぼる音…。でも誰もいないし、食材も無くなってはいない。