表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

1、ネコ虫、他

【雨女】「雨女だったんですよ、ずっと」目の前の医者にそう言う。「大事な日はいつも雨」「たしかに、今日も雨ですね」医者が窓の外を見て驚く。「じゃあ、そろそろ始めますね」徐々に麻酔が効いてきてまぶたが下りてくる。目覚めたらきっとわたしは「雨男」になる。



【緑色の猫】緑色の猫がいた。しっぽも三本生えている。ガリガリで物欲しそうにこちらを見ていたが「あなたにあげるものは何もないわよ」そう言って追い払った。元彼からもらったエメラルドの婚約指輪。それを川に放るとぽちゃんと音がした。振り返ると緑の猫は消えていた。



【33:33】夜中にハッと起きて見ると、枕元の時計が「33:33」となっていた。明日も早く起きなくてはならないのに、これでは困る。電池を入れ直し、正しい時間を設定。よし、これで良いと目を閉じる。するとまたハッと起きる。まさかと思い時計を確認すると「33:33」だった。



【子供たちの声】子供たちの笑い声が聞こえる。ウチの裏の保育園から。もうとっくに閉園しているのに。インターホンが鳴り、出てみると園長さんだった。「資金のめどがつきまして、来月から解体します」まだ子供たちの声が聞こえる。すっかり更地になっても、まだこの声は聞こえるのだろうか。



【ネコ虫】ばあちゃん家の縁側で、絶滅したと思われていた「ネコ虫」を見つけた。体長4センチくらい。見た目は足の無い茶トラの猫だ。寝ている所をつんつんつつくと、縁側の下に逃げてしまった。わりとすばやい。ばあちゃんが「あれは大きくなるとツチノコになるんだよ」と教えてくれた。



【ナス12歳】「ナス12歳」と書かれている。何度見ても「ナス」と書かれている。前任者の加藤さんのことはよく知らないけど、きっとこの美文字は加藤さんが書いたものだ。その前は「あや」とか「けんた」とか普通の名前が並ぶ。迷子センターに勤めて早一か月。この案件だけが気になっている。



【ピアニスト】そのピアニストは「猫ふんじゃった」しか弾かない。けれど、聴いた者は涙が出るほど感動するという。わたしも友達に強く勧められてそのコンサートに行ってみた。アレンジでもなんでもない、小学生が弾くような音色。わたしはあまり感動できなかった。皆はあんなに号泣していたのに。

七話ごとにたまったら上げていこうと思ってますので、更新は不定期です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ