僕自身の謎
気づけば僕は知らない家の階段に座っていた。ここが何処なのか僕が誰なのかはわからない。
ただ分かったことは僕は男だと言う事。
僕が今座っている階段は結構急な角度で、お年寄りにはキツイだろう。
誰の家かもわからないが泥棒だと思われる前に早くこの家をでなければ…と思っていた時下の階で誰かが家に入ってくるのを感じた。
僕は慌てて上の階へ隠れた!
僕は慌ててどうしていいのか、もし見つかったらどう説明していいのかわからなかった。
バタンッ
また誰かが家に入ってくる。何やら口喧嘩をしているらしい。厳しく激しい言葉がズキズキと僕の心の中に突き刺さってきた。
僕は早く家を出ようと思った。気づかれないように玄関の方へとたどり着き、あと数センチで玄関の扉の手を握ろうとした時…
「うぇっ、ぁあ"ー」
赤ちゃんでもいるのだろうか
子供の泣き声がした。
僕の頭の中にこの子を守ってやらなくていけないという司令がきた。体が勝手に泣き声がする方へと歩いていった。
そこには、赤ちゃんであるのかわからないように汚い布でぐるぐる巻にされていたものがあった。僕は慌ててその子を包まれた布のまま抱き上げた。
恐る恐るその布を取ってみるともう泣いてはいない可愛らしい赤ちゃんが居た。
ガシャンッ
何か皿が割れたらしい。まださっきの喧嘩が続いているのだろう。きっとこの子供の両親だろうと思った。
その時!ギュイーンと僕の視界が周り出し僕は気を失った…
次に僕が目を覚ましたのはまたあの階段だった。また座っていた。
赤ちゃんは!!?
僕はとっさに下の階に行った。僕が何処の誰だか自分でもまだ何もかも分かっていないけれど、そんな事よりも赤ちゃんの事が気にかかった。
何故だかわからないが前よりも随分と家が綺麗になっていた。
ドタドタドタッ
目の前に男の子が走ってきた。
僕は驚いたが、逃げも隠れもしなかった。ただ感じとったのはあの時の赤ちゃんだと思った。
僕が気を失っている間にどれだけの時間が過ぎたのか、頭が混乱していた。さらにその男の子は僕をスルーして走っていったのだ。
まるで僕が見えていないかのように…
僕はとっさにその男の子の腕を掴もうとした。すると男の子の手を僕の手がすり抜けたのだ。僕は唖然とした。
赤ちゃんだった時はこの手でしっかりと抱き上げる事ができたのに、今は触れる事すらできない