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閑話休題 その弐 「オタクとBとプラモデル」

「ねぇねぇ、僕【オタク】って初めて見たよ~」


 突然そんな事を言い出したのは、もちろんBである。いつものように、イマイチ要領を得ないBの話を要約すると、こうである。


 なんでもBの新しく出来た高校の友人は、ラノベの登場人物やアニメやゲームのキャラクターがとても好きらしく、秋葉原に足繁く通い、恋愛対象は二次元と言い切る少年らしい。へえ~。それをオープンにする少年も珍しいと、フムフム聞いていたのだが、次の台詞に思わず笑ってしまった。


「そいつさあ、見た目はすげえモテそうなんだよ? Tシャツとかも別に入れてないし? チェックのシャツも羽織ってないし? そういえばコスプレには興味ないって言ってたっけ。でもさあ~、二次元なんてもったいない!」


 どういう偏見なんだ! と、呆れつつも、やはり脳天気に女の子に絡めるところが、お年頃と言ったところだろうか。それにしても……自覚が全くないとは我が子ながら恐ろしい。ここは親として、自己認識の手助けをせねばなるまい。


「Bさあ~、鏡見たことある?」

「はあ~? 何言ってんの? 突然」

「【オタク】というなら、我が家に溢れてるじゃん!」

「何それ? 誰それ?」



 『怪しい母の怪しいひとり言』でも触れたのだが、Bは立派な鉄ちゃんである。筋金入りと言っても過言ではないだろう。鉄道関連の新聞記事を切り抜き、写真を撮りに出掛け、運転ゲームをし、Bの本棚は鉄道関連本が漫画を含め半数以上を占めている。傍から見たら完全に「鉄道オタク」なのである。


 最近はそれに加え、某宇宙戦艦アニメのリメイク版にはまり込んでいる。これまた旧作の漫画から、新作漫画、小説版、映画のDVD、アニメ放送は録画はもちろん、何度も繰り返し観ている入れ込みようなのだ。おまけにコツコツと幾つもプラモデルを作り、わざわざカラーリングをし、プラモデルメーカーから特殊部品を購入するため、郵便小為替の手配をしに行くわ、欲しいプラモデルのために、ネットで販売店を調べて出掛け、貴重な休みを費やすくらいの熱の入れようなのである。


 これを「オタク」と言わず、なんと呼べば良いのさ!?


「ええ~! それとこれとは違うじゃん!」


 などとほざいていたBであるが、Bは好きになったら一途である。私のように、広く浅く色々なものに手を出す訳ではなく、ものすごく狭いけれども深~く掘り下げるタイプのようだ。誰に似たのかわからないのだが、現在のところ、分不相応な事に手を出す訳ではないし、Bの部屋のあちこちにプラモデルが鎮座しているものの、掃除は自己責任なので、誰に迷惑がかかる事もない。


 これで学業なり生活に支障が出るなら別だが、それもないくらいには割り切ってもいるようである。だから私も放置しているのだが……


 三省堂版国語辞典によると、「オタク」の定義は『特定の趣味にのめり込んでいる(内向的な)マニア』とある。辞書を引かせ、正しくお前の事だろう? と高笑いした母である。


 それでも何やらブツブツと言っていたが、正しい自己認識は大事だよ、B。人様に迷惑をかけない限り、どんなものが好きでも良いと思うのだ。もしかしたら、それが将来への仕事へと繋がるかもしれないではないか。冒頭の少年だって同じである。


 楽しく趣味を満喫し、偏見を捨て、互いを尊重しあえる良い友人になると良いね!


 タブレット片手に、「なろう」にどっぷり浸かっている、母からの有り難いメッセージである。



 ちなみに、Aはインドアものの趣味をこれでもかとやっていて、バイト代は全て趣味に消えている。趣味の為ならどこへでも行く行動派のAだが、その趣味が、全く家事等の生活に直結しないところがAらしい。


 ゲーム、漫画、フィギュア、ドールと呼ばれるらしき人形。そしてラノベ。


 特定でないところが、「オタク」の定義に当て嵌まらないのだが、実質的には立派な「オタク」である。

 何故か料理や裁縫に向かないところが、全く残念なところだが、これ以上は見事に墓穴を掘るので、今回はこの辺で。

お読み下さってありがとうございました!


*次回更新予定*

7月17日(金)夜10時

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