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豚に真珠もしくは猫に小判の物体

 我が家では、しもべA以外はずっと二つ折り携帯を使用してきた。Aはどうしても大学で使うからと、毎月の使用料はバイト代で賄う事を条件に購入したのだが、そのほかの家族は特に必要を感じなかったのだ。


 ところが三月に入った頃から、私の携帯の電池の減り方が異常な程早い。折しも介助の為義母宅への通勤が始まっており、緊急の電話が入った場合、対応出来なくなる。もう五年以上使ってきた愛着ある携帯を買い替えるしかないのかと、諦めのため息をついた。


 家電量販店のショップを覗いたところ、三月末までに複数のスマホを購入するとそれぞれ一万円ずつ割り引かれるという。こうなったら、Bも入学祝いがてらスマホにしてやろう。カタログを大量に持ち帰り、検討を重ね、Bにも聞いてみる。


「母はスマホにするが、Bもスマホにしてやろうじゃないか」

「いらねえ」

「いやいやBよ。高校に入ったら、ラインとかで部活の連絡が来るらしいぞ?」

「そん時考えるわ」

「そんな事言わず、今決めろ!」


 説得を重ね、更に検討を重ね、ようやく決めたのは伴侶の赴任先への旅行の直前であった。希望していたモデルは完売だったが、比較的丈夫で電池持ちの良い機種があり、タブレット同様アンドロイドだったのと、取り扱い説明本が販売されていたのが決め手となって、手続きに入ったところで問題が発覚した。


 私のスマホは問題なく購入出来たのだが、Bは名義が伴侶になっていて、手続き出来ないのである。仕方なく私の物だけ購入し、名義移管の書類を持って赴任先へと赴いた。


 こことこことここを書いて! 伴侶に会うなり書類を取り出し、ボールペンを押し付けた私である。ちなみにそこは、伴侶がご馳走してくれると連れていってくれた懐石の料亭であった。


 実はこの風景、あまり珍しい事ではない。学校手続きや銀行手続きなど、しもべ関連で保護者を誰にしていたかで往々にしてあるのだ。この時程、日本にいてくれて良かったと思う。以前、海外に赴任していた時は、それこそ書類が海を行き交ったのである。赴任してからと云うもの、保護者欄は私にしているのだが、いかんせん私は無収入の為、出来ない事も多々あるし、その度に書類が飛び交うか、手続きを要請する。


 こうしてギリギリ三月末までになんとかスマホを手に入れた私とBである。



 そのスマホだが、私はもっぱら移動中に「なろう」を読む為だけに使用している。流石にタブレットで移動中読む元気はなかったので、非常に便利である。もっと早く替えれば良かった。ズームが甘く、カメラの使い勝手は今一つだが、文句は言うまい。何処ででも読めるだけで有り難い事である。


 Bはいつの間にか私よりも使いこなしている。だが、四六時中見ている事もなく、ラインにはまり込む事もないようだ。最近では授業でも利用すると聞いて驚いた。進路等の調べ物等に使うらしい。辞書としては、専門の電子辞書以外認められていない様だが、スマホがあることが前提の授業にB自身もびっくりしたようだ。ともあれB自身は、母よりも堅実に、しかも上手く付き合っている様で一安心している。


 Aはとにかくどこに行くにも持ち歩いている。特に今は企業からのメール等もあるようで、SNSもフル活用している様である。まあ既に成人しているし、いくら使おうが、自己責任だから私はノータッチであるが。

 

 私自身は、ラインもツイッターもやっておらず、突然鳴るお天気のアラームアプリに飛び上がっている毎日なのだ。おサイフケータイとしても使っていない。移動中も専ら「なろう」の更新を読んで、「怪しい母」と化しているので、ゲームもやっていない。精々、時々ニュース配信を覗くくらいが関の山。相変わらずのアナログ人間であるから、文字通り「豚に真珠」状態であるが、学校からの連絡もアプリで知らさせる時代である。世の中便利になったものだなあ~と、本当に思う。


 なんたって、ダイヤル式黒電話から始まった私の電話史である。黒からエメラルドグリーンっぽいプッシュホンに変わった時には、子供ながら驚いた。その後、子機が出来、ファックス一体型となり、ポケットベルが営業必帯の時代に就職し、ピッチがそれに変わり、転勤先にいる時、Aを保育園に預け働くのをきっかけに、初めて携帯電話なるものを手に入れた。後日伴侶が海外赴任したとき、その便利さに驚いたものである。なにしろ私が学生時代、海外に電話するのは、交換手を通していたのだから。


 便利になったし、常に連絡が取れる安心が大幅アップした一方で、私自身手紙をじっくり書く機会が減り、何故か時間に追われる様になったと感じている。何処にいても居場所を把握される環境が、そう感じさせるのかもしれない。


 そしてスマホや携帯電話による犯罪やイジメなどのトラブルも増加している。どこの学校でも必ず、大きな問題として、その扱い方や与え方などのレクチャーが生徒のみならず、保護者へもある。道具はあくまでも道具であり、囚われる事も、悪用することもあってはならないという、ただそれだけの事なのだが、身近でもトラブルをよく聞いている。


 どうか、そういうトラブルに巻き込まれません様に。購入後推奨のフィルターをかけ、ウイルス対策をし、学校からの何ページにも及ぶ注意事項を眺めながら、祈っている母である。



 ところで、ここで拗ねているのが弱冠一名いる。伴侶である。伴侶は普段、会社支給の携帯を使用しているので、緊急の連絡もこの会社携帯へと連絡している。我が家で契約している携帯はほぼ目覚ましがわりになっているらしい。あまりに使用しないので、解約しても良いのだが、解約は購入よりも大変なのをご存知だろうか。まあ、家族間は通話も無料であるし、伴侶も急ぎでない時は、自分の携帯から連絡して来るのだからと現状維持している。いるのだが、自分一人スマホでないのがどうも納得いかないらしい。


 目覚ましがわりのスマホなど論外である。基本使用料だけでも高額過ぎる。仕事柄、移動の多い伴侶は、パソコンやタブレット(iPad)を持ち歩いているし、要らないでしょ? 

 先日、久しぶりに帰宅した伴侶に宣言した私である。

お読み下さってありがとうございますm(__)m


*次話投稿予定*

7月10日(金)夜10時

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