マヨイガの二人
あれから3日経った。僕は学校も行かず、凜音や天誠達からも逃げていた。海の日に凜音と交わした約束は守るどころか破ってばかりだ。でもそれも今日で全てが終わる。僕は決意を固めた。
放課後、僕の家を訪れた凜音と天誠、エリスを家に招き入れた。
「ねえ凪紗、どうしてまた家にこもっちゃったの? やっぱり前に言ってたひたぎって人が原因なの?」
「うん。凜音達はやっぱりひたぎの事を覚えていないんだよね?」
「うん……ごめん、どれだけ探してもやっぱり私達は会った事すら無いと思う」
「そっか。天誠はエリスと上手くやってる?」
「おう! バッチリだ。だから早くお前も学校来いよ。まだ記憶喪失で頭の中混乱してるかもしれないけどよ、俺達がサポートするから。な?」
「大丈夫だよ。もう記憶、戻ったんだ」
「え?」
「黙っててごめんね、凜音、天誠」
「おいおいマジかよ。さっさと言えよ! おっしゃ! 今日はパーティーだ」
「いや、僕はもう行かないといけないんだ」
「どういう事? どっか行くところがあるならあたしも行くよ?」
「僕はひたぎのところに行くよ」
「どういう意味だよ?」
「そのままの意味だよ。ここにひたぎは存在しないから、僕はひたぎいるところに行くんだ。だけど、皆はついてこれない場所にいるんだ」
「決めたんだね。本当に後悔してない?」
「うん。凜音、ごめんね。僕は、ひたぎの事が好きみたいだ」
「嘘だよ。ねえ、そんな存在しない人の事が好きだなんて言わないでよ。ね?」
「ひたぎはちゃんと存在するよ」
凜音は人目もはばからず泣いていた。でも、今の僕に凜音を慰める資格は無い。
「ダメだよお。行かないで! お願いだから。凪紗のためだったらなんでもするから! 凪紗のために頑張るからあ。おね……がい」
「俺からも頼むよ。凜音のためにもいてやってくれ。俺も出来る限りの事をするから」
「無理なんだ。凜音、俺の事を好きになってくれてありがとう。さよなら」
「凪紗あああああああ!」
僕は凜音の叫びを振りきって家を出た。目指すの滝壺、常夜の門だ。
途中見えた木彫の像、ヒシラズサマ。僕の遠い遠い先祖達だ。彼らはずっと現世を選んでいたみたいだけど、僕はひたぎを選ぶ。もう、全て捨ててきたんだ。後には引き返さない。
「来てくれたんだね」
「うん。来たよ」
「嬉しい」
「やっとだね」
「うんやっとだ。二人でマヨイガへ行こうそして」
「私達の世界を創ろう」
お付き合い頂きありがとうございました。
今後も活動を続けていくのでどうぞ宜しくお願いします。




