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今回は本来、前回の「海」に続けて書く予定だったのものなので少々短いです。

現在は修正済ですが、前回改稿せずに投稿したため、今回の「海」と辻褄の合わない部分がありました。そのため前回の「海」との合わせ読みをおすすめします。

「結構遠くまで来たね。砂浜の人がちっちゃく見える」


 僕達は喧騒の声が聞こえないくらい遠くまできていた。緩やかにたゆたう波の音とカモメの鳴き声が夏の海を強烈に感じさせた。


「ホント、天誠が居たら、ふはははは、跪くがいい! とか言いそう」


「ハハっ。本当に凜音と天誠は仲が良いんだね」


「失礼な事言わないでよ。ただの腐れ縁よ」


 そう言いながらも凜音の顏には正反対の言葉が書かれていた。


「凪紗だってベタベタベタベタと天誠にボディタッチされ続けてたんだよ?」


 ちょっと背筋がぞぞっとした。一瞬、天誠がアッチの趣味がある人なのかと思ったけど、エリスと付き合っている事を思い出し、一人心の中で安心した。


「それはちょっとご遠慮願いたいかな。でも、僕はボディタッチなんてされた覚えが無いよ?」


「天誠なりに気を使ってるのかもしれないねー。あいつ、ああ見えて結構空気が読める男でさ。今の関係を維持するのにすごい頑張ってるから」


「ふーん。そうなんだ」


 ちょっと意外……でもないか。病院でひたぎとの付き合い方を教えてくれたし、僕の見えない所でいろいろと頑張っているのかもしれない。最も、せっかくの忠告を僕は半分以上無視しているようなものだけど。


「凪紗の記憶も中々戻らないねー。もっと早く戻るものだと思ってたけど、やっぱりそう上手くはいかないか。なんか無いの? これをすれば戻りそうだー! とかさ」


「無いなあ。あ、でもこの前は公園行って思い出したよね。あんな感じで思い出せないかな? なんか印象的な出来事とかあったら教えてよ」


「印象的な出来事? うーん……そうだ! 夏祭りのちょっと前にあんた滝壺で溺れたわ」


「その時の事を詳しく教えて」


「あの時はたしかあたしと凪紗と天誠、まあいつもの三人で暑かったから涼みに行ったんだよ。


だけどね、滝壺に着く前の山登りのまあキツイ事。涼みに行くはずが熱射病寸前。あの時は本当に企画した天誠を恨んだね。


山登らなきゃ滝壺に行けないのはわかりきってた事なのに。まあ、暑さで正常な判断能力を失っていたからしょうがない部分もあるけど。


そして、滝壺に着いて三人で水かけ合ってたら凪紗が石かなんかに足を滑らせて水にダイブしちゃったんだよ。最初はフザケてるんだと思ってた。


でも、いつまで経っても起き上がらないからあたしが近くに寄ったら溺れてたってわけ」


「そうだったんだ。なんか、僕は最近皆に迷惑ばっかりかけてるみたいだね」


「ホントさ。これ以上心配させるような事しないでよ」


「努力はしてみるよ」


「ダメ! 約束しなさい。ほら指切りげんまん」


 そう言って凜音は小指を突き出してきた。しょうがなく僕も小指を差し出す。


「わかったよ。ゆーびきーりげんまーん」


「うーそつーいたらはりせんぼんのーます。ゆーびきった!」


 幼い子供がやるかのように大きな声で言った後、僕達は指を離した。周囲を海に囲まれて、僕と凜音以外に誰も居ない空間。僕達は少しだけ、童心に返っていたんだと思う。


お読みいただきありがとうございます。

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