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活動報告にも書きましたが、評価していただきありがとうございます。

さて、今回は私生活の方が忙しく時間が取れなかったため遅くなりました。申し訳ありません。

さしあたって書き終えている部分のみ投稿します。

「海」はまだ続きます

14

 今日は皆で海に行く日だ。昨日は買い物に行って疲れていたはずなのに、楽しみで全然眠れなかった。目覚ましよりも早く起きちゃったくらいだ。


 しっかりと準備して約束の二十分前に集合場所に着いたら、既に皆到着していて僕の事を待っていた。皆早過ぎるよ。僕も楽しみにしていたけど、それ以上に楽しみにしていたのかな。


「よう。これで全員揃ったな。海までもうちょいだ。行くぞ」


 天誠を先頭に海に向かって歩きはじめる。潮の匂いがするあたり、天誠の言う通り海はもうすぐなんだろう。


 ふと、天誠の額からは一筋の汗が流れるのを見た。ひょっとすると僕は結構な時間皆を待たせてしまったのかもしれない。だとしたら申し訳ない事をしてしまった。


「まだ集合時間まで結構あったよね? 皆いつから待ってたの?」


「天誠のアホが早く来すぎただけで、あたし達はそんなに。五分とかそんなもん」


「……まあ俺が早く来すぎたのは事実だ」


「まあまあ。天誠君はとっても楽しみにしてたんですから、いいじゃないないですか」


「ほらほら、エリスもこう言ってんだ。アホ発言を撤回しろ」


「ちょっとエリスを味方につけたからって調子乗ってんじゃないよ。あんたがアホなのは周知の事実だ」


「うるせーよばーか。悔しかったら味方の一人でも見つけてみろってんだ」


 どうして集合時間の話からこんな低レベルな争いに発展するんだ。見ていてちょっと悲しくなってくる。


「凪紗」


 先程まで一言も発していなかったひたぎが僕の手をとって話しかけた。


「海に着いたら、少し時間をくれない?」


「いいけど、どうして?」


「この前にみたいに二人で話したいんだ」


「わかった。いいよ。今日は夜までいるみたいだから、機会を見つけて声をかけて」


 答えてから天誠の言葉を思い出した。あまり深い仲にならない方がいい。


 でも、もう遅い。答えを返してしまった。それに、僕はどうしてもこうなる事を病院で言われた時から薄々わかっていた。


ひたぎが僕に積極的に話しかけてくるように、僕もまたひたぎに惹かれてるんだ。蜘蛛の巣に絡めとられた虫は、やがて蜘蛛に捕食される。それは自然の摂理で逃れられない宿命だ。


「おーい! 何やってんだ。置いてくぞー」


 天誠の声に驚き、僕達は弾かれたように手を離した。手を繋いでいたの、バレたかな? ひたぎに集中していたせいで、皆と少し距離が出来てしまっていた。僕とひたぎは何事も無かったように皆の元に走っていった。


           ○


 海に着いた僕達のはしゃぎようといったら、それはもうとんでもないものだった。


 着いた途端に皆水着に着替えて海で泳いだり、水のかけ合いをした。それが一段落したらすかさず天誠はナンパを始めたけど、すぐに凜音に発見されて殴られて連行されて来た。


無表情で連行されて来た天誠を砂に埋めるエリスの姿はちょっと怖かった。僕はやめた方がいいって言ったのに。人の話を聞かないからああなる。


自業自得とは言え見てて可哀想だ。だけど、とりあえずは天誠を放置してビーチバレーをしたいと言う凜音に付きあおう。助けるのはその後だ。


「んじゃー行くよー。落とした人は天誠と焼きそばの調達ねー! 凪紗!」


 凜音が僕にボールを優しくトスしてくる。これぐらいの球なら余裕を持って返せるぞ。


「はいよー。エリスー」


「ひたぎちゃーん」


 トスを渡す相手の名前を呼びながらボールをトスする。


 ボールは地に落ちる事無く宙に浮かび続ける。自力で砂から脱出した天誠も交え、暫くの間平和なビーチバレーが続いた。


 しかし、最初は和気あいあいとした雰囲気で進んでいたビーチバレーも時間が進むにつれ段々と面倒になってくる。


そうなってくると皆早く終わらせようと最初はトスだったものがレシーブに、果ては渾身の力を込めたサーブまで飛び交うようになった。


「くらえ! 凪紗!」


 天誠が無駄に元気よく僕に渾身の一撃をぶつけてくる。


「なんのお!」


 少し危なかったけどボールを浮かす事には成功した。そのままの流れで再度ボールを打ちやすい位置に上げ直し、エリスにサーブを打つ。


「負けませんよ!」


 が、エリスに止められてしまった。


「ひたぎちゃーん。行きますよー!」


 最初は面倒な買い出しを決めるためのものだったから、あくまでも全力を出さずに楽しんでやれる範囲でやる予定だったのに、やっている内にヒートアップして手を抜く事が不可能な状況になってしまった。


 最早買い出しに行くよりもよりも面倒な事をしている気もするけれど、そんな事を言う雰囲気では無かった。


 その後もビーチバレーは続いたけど、僕は砂に足をとられてボールを落としてしまい、買い出しは天誠と二人で行くことになった。


ボールを落とそうと落とすまいと、どっちにしても買い出しに行かされる事になっていた天誠はやっぱり少し可哀想だった。


買って来た焼きそばを皆で食べて、少し休憩した後にスイカ割りをした。スイカ割りを終えた事で大体の事はやったという事で、夜のバーベキューの時間まで自由時間と言うことになった。


天誠はエリスと海でのデートをするみたいだ。僕はどうしようかな、と思っていたら凜音に声をかけられた。


「凪紗。海の家でボート借りられるみたいだからさ、あたしとちょっと遠くまで行こ?」


 特にやる事が無かった僕は凜音の提案を二つ返事で了承した。


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