そのさん
青年は女の子にとてもよくしてくれました。
女の子は青年に食事を運んでいくだけでよかったのです。
主人にそれがばれることもありませんでした。
青年は女の子にたくさんの話をしました。
山や海、王都での人々の暮らし。
女の子の知らないことばかりでした。
奴隷なんて、今はほとんど禁止されているのですよと青年は言いました。
女の子は初めて、奴隷なんてやめたい、ここから逃げてしまいたいと思いました。
わたしがつれていってあげましょうか。
青年は微笑みました。
あなたはわたしが探している人によく似ています。
そして青年は一人の神様の話を始めました。
この世界は3つに分かれていると言われています。
天界、魔界、そして人間界。
しかし、ずっとむかし、3つの世界はひとつだったのです。
3つに分かれた原因は、神と魔物と人間との間で大きな戦争があったからです。
一部の人間が魔物を操り、神の座を奪おうとしたのです。
そんななか、一人の神がその戦争を止めようとしました。
神の名前は青龍。
四方を守る、四神の一人です。
彼女は戦争の原因が人間にあることを知っていました。
だから魔物を操る人間を探し、その力を奪おうとしたのです。
しかし、それはできませんでした。
その人間は天界の王子を殺そうと、魔物を引き連れ神の住む神殿へとむかいました。
天界の王子は人を守ることはできますが、攻撃することはできません。
今にも殺されそうなそのとき、青龍は天界の王子をかばってかわりに攻撃を受けました。
最期に、彼女は残った力を使って世界を3つにわけ、そのまま死んでしまいました。
神が死ぬとその魂は世界のどこかですぐに生まれ変わるのです。
天界の王子は青龍の魂を探しに3つの世界を旅しているのです。
わたしが、その天界の王子です。
青年は言いました。
女の子は驚きました。
目の前の青年は本物の神様だなんて。
あなたは青龍によくにている。
青年は女の子の目を見ました。
きらきら金色にひかる女の子の瞳は龍の瞳のようにも見えました。
少し、考えを整理させてください。
女の子はそういって青年の部屋をあとにしました。
青年はその後ろ姿を少し切なそうに見つめていました。




