表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/33

プロローグ『後の祭り』

「やってしまった……」

 我に返り、そんな言葉をつい零してしまう。

 俺の目の前にいるのは路上でうつ伏せに倒れている数人の男。彼らは俺にボコボコにされたのだ。

 男達が俺の入学する高校の制服を着た女子に絡んでいた。しかし、あからさまにその女子が嫌がっていたので、気づけば俺は男達を殴り倒してしまっていた。

 同じ高校に通う女子高生を助けたということで、俺は時の人にでもなるのだと少しだけ期待してした。だって、女子を助ける男子ってかっこいいじゃない。俺だってそんな男子を見たらかっこいいって思うし。

 でも、現実は甘くなかった。苦く冷たいものだった。

 観衆の大半は俺のことを差別する目で見ていた。俺が周りを見渡していく中で目が合ってしまうとその途端に逃げてしまう人もいた。

 俺にはそうなる原因がすぐに特定できた。

「ひくっ、ひくっ……」

 俺の助けた女子が怯えた表情で俺のことを見ており、俺と目が合うや否や小さな声で泣き始めてしまったからだ。

 ――やっぱりこうなってしまうのか。

 どこの地に立とうが、俺は非難の目で見られる運命ってことなのか。

 今日から高校生だっていうのに。

 恋人云々は期待していないが、友達と一緒に楽しい高校生活を送るという儚い夢がこの瞬間に散ってしまった気がした。

 俺、成瀬篤人なるせあつとという人間に待っているのはやっぱり、孤独で灰色な高校生活だけ、か。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ