それぞれの決意
ー恭ー
「失礼しました。」
そう言って、走り出した。
森谷…いや、緑のもとへ。
ー恭・緑ー
「先輩おはようございまーす!遅かったですね。」
相変わらず、うるさい…いや、元気だな。
俺に残った大切な人っいったら…。
「おはよう、緑。」
そういうと、緑は、目を見開いていた。
「先輩おかしくなっちゃいました?」
なんだよ、失礼な。
そっちが、前まで緑って呼ぶの
強要してたくせに。
「何か文句あんのか?」
すると、緑は
「ううん。すっごい嬉しい!」
そういって、喜んでくれた。
これで、いいんだ。大切な人は、緑しかいないんだから…。
「あのさ、緑。付き合ってくれないか?」
もちろん答えは、yesだった。
そして、俺と緑の日々は、始まった。
ー美野ー
さっきのキスやら、抱きしめられるとかを
意識しすぎて、お互い話せない…。
でも、ちゃんと言わなくちゃ!
「あのさ。大林…「あのごめんな!さっきは。全部忘れてくれ。」
言いかけた途中に、邪魔された。
でも、忘れてくれって言ってる。
なら、無駄に話さなくても、いいんだよね?
「その言葉信じていいんだよね?」
そういうと、大林は黙りこんだ。
勢いで、言ってしまったのだろう。
自分も大林側になったら、言ってしまうと思う。
…けど、そっち側じゃないから。
勢いだけで、言われちゃ困る。
「外で話そう。」
そういって、外へ出た。
「で、どうなの?」
きつめに、言ってみる。
もし、これで嫌われるなら、どんなに楽なんだろう。
「やっぱり…、さっきしたことは忘れてほしいけど。
やり直させてくれ。」
「ごめん。私大林と付き合えない。彼氏がいるってわけでも
好きな人がいるわけでもない。けど…、私死神の仕事
やってるから。」
きっと信じてくれないだろうけど。
言わなきゃいけない。
「…たまたま、冗談をーwお前冗談言うの上手いな!
…嘘だよな?」
今にも捨てられるかのような子犬の目で、
見てきた。
でも、応えられないよ。
変えられない事実だから。
「ごめん。ほんとなの。月ある程度のノルマ
超えないと、やばいの。それに、自分で稼ぐって言って
ここ来たから…。」
ノルマを超えないと、あれだって
話はまだ出来ないな。
「大丈夫!仕事の邪魔しないから。」
確かに、邪魔しないと思う。
けど、大林が離れていっちゃう気がする。
「でも、仕事で男の人の家に、下宿するし…。」
多分もう諦めたよね。
そんな状況で、付き合おうと思わないでしょ。
まぁ、付き合ったとしても、束縛される。
「いいよ。その人に、気がないなら。」
きれいごと言っちゃって。
そういう人に限って、裏切るんだから。
「実際そんなこと言ってられないでしょ?
わかるの。みんなそういうもんだから。」
どうせ。人間って、そういうもんなんでしょ…。
「俺は、違う!毎日学校で楽しく話して
たまにデートするだけで、大丈夫だから。」
「でも、デートの暇ないし…。」
一応下旬なら、ギリ行けるか行けないかだし。
「いいよ。こうやって、会えてるだけでさ。」
大林…。気持ちに、応えてあげたいよ。
けど。けど…。
「無理しなくていいの。私大林のこと好きだから
大林には幸せに過ごしてもらいたいから。」
「俺は、玉山と付き合うのが、幸せなんだぜ?
確かに、つらい日もあるかもしれない。
けど、信じてるから。」
信じてるなんて、言わないでよ…。
私守れる自信ないよ…。
「とりあえず、わかった。1、2か月付き合ってみる?」
少しは、気持ちに応えたいからね。
「よっしゃ!」
大はしゃぎする大林。
それと対照して、心が沈む私。
ー家ー
「ただいまー。」
「お帰り。あっ。今日は、話すことが。」
「私も、話したいことが。」
ー食事ー
「でさ。今日葵が、事故で亡くなったって聞いた。
それと、緑と付き合うことにした。」
実は、俺らそれぞれの恋愛相談を
まめにしていた。
お互い好意を持っていないし、
異性のことは、わからないので。
「そうなんだ…。緑さん失いたくないんだね。
あと、私大林と1、2カ月付き合うことにした。」
「ふーん。お互いけりをつけたって感じか?」
「でも、この選択はあってるのかね?(小声」
「ん、何か言ったか?」 「何でもない。」
2人の選択は、正しかったのか。
そして、この2カップルは、どうなるのか。