たのみごとは、起きて云ってね
なんか午前5時に目が開いたので
君の寝顔をみていると
パチって目を開けて
「わかってる?」
とか訊くから
しごくテキトーに
「ああ」
って応えた僕に
すぐに目を閉じて
「なにが、わかってるの?」
「えっ?いや、アレやろ、アレ」
「あけて、しめて、しておいて」
「?」
「そう、いかのしおから」
「?」
「いかのしおからのフタあけて、しめて」
「?」
「ビンのやつ」
なんとなくわかって来たのは
新しいイカの塩辛の瓶詰めがあるから
じぶんじゃ開けられないから
一度開けて閉め直しておいて
と?
「ビンのやつ、ね、わかったわかった」
で、伸ばして来た手を握って
もう一方の手で
頭を撫でてあげる
「よし、よし」
と
「ほんとにわかってるの?」
「えっ?ビンのやつやろ、わかってるよ」
「ほんとに、もう、りゅうぐうじょうもね」
「えっ?」
「………」
「えーっ?」
「……………」
そして寝息を立てて眠ってしまうから
握っていた手をほどいて
君の胸のうえにその手をそっと返してあげる
わからないままだけど
まぁ、いいや
そもそもイカの塩辛だって
この家にあるって話を
僕は知らないし
ただの夢の中での出来事なんだろう
と
想ってる
けど
実は僕の知らないまに
イカの塩辛買ってたら
なんだか怖いな
いや
イカの塩辛を買ってたことじゃなく
『りゅうぐうじょう』
って言葉にもなにか
ほんとうの意味があるかもしれないだろ
(あのとき、云ったよね)
とか云われると
なんだか僕が悪いみたいに
想えてしまうかもしれないだろ?
だって今
布団を蹴り飛ばしながら
「じゃ、あとで」
だなんて滑舌よく
云い放ってるんだから
しっかり眠ってるはずなのに
布団をかけ直してあげ
寝顔をみながら
起きたらとりあえず
「りゅうぐうじょう」の意味だけでも
一応聴いておこうと
決心を固める




