8. 禁忌の盲点、灯台下暗し
「馬鹿を言え! 祭壇には何もなかったではないか!」
厳山が立ち上がろうとするが、腰を痛めてよろめく。
「ええ、祭壇の『上』にはありませんでした。でも、祭壇の『下』はどうですか?」
つむぎは、祭壇を覆っている重厚な「金襴の布」に手をかけた。
「よ、よせ! それは神域だ!」
正成が止めようとするが、つむぎの好奇心は止まらない。
ザザッ、と布が捲り上げられた。
そこには、祭壇の脚にすっぽりと収まるようにして、あの「直径一メートルの巨大鏡餅」が、上下を逆さまにして押し込められていた。
「……あったッ!!」
道成が絶叫する。
「お、おい、なぜこんな場所に……」
厳山が絶句する中、つむぎは静かに、しかし冷酷な推理を披露した。
「犯人は、この巨大な餅を移動させる際、包丁が使えないから切り分けられない。掃除ができないから粉を消せない。火が使えないから処分できない。そこで考えたんです。『一番探されない場所は、一番大切な場所の真下だ』と。そして、移動の際にこぼれた粉は、あえて廊下を一周させてカムフラージュした。でも、掃除ができないから、戻ってきた跡だけが隠しきれなかったんです」




